「前回の会話」も心の引き出しに

◆時事ネタも、身近な事として振る

時事ネタ、ニュースも雑談ネタの定番です。もし、時事ネタやニュースを雑談のきっかけにするときには、一般論としてではなく「経験談+感じたこと」をプラスαで伝えると会話が続き、心理的な距離が縮まりやすくなります。

例えば「先週末の豪雨では全国でかなりの被害が出たようですね」よりも、「先週末の豪雨は、私の近所でも川が氾濫しないかとひやひやして夜も眠れませんでした。お住まいのエリアは大丈夫でしたか?」と伝えたほうが、あなたらしさが伝わります。また、こうしたちょっとしたプライベートな体験談を先にすることで、「そうなんだ、それは大変だったね、うちのほうは……」などと相手も話しやすくなります。

◆以前の会話を思い出す

誰でも以前の会話や自分の趣味を覚えていてくれると嬉しくなるものです。そこで、雑談のきっかけで良く使う「最近、お忙しいですか?」というありきたりなフレーズも「お忙しそうですが、最近ゴルフはやっていますか?」のように、前回までの会話を織り交ぜながら質問をすると、「沈黙」を解消するだけでなく好感度もアップします。

もし直接会話をしていなくても、「いつもお忙しそうですね。そういえば先日、社内報でご紹介なさっていた書籍、早速読んでみました。まだ途中なんですが大変勉強になります」「同期のメンバーから、○○さん(相手)の手掛ける第二事業部のプロジェクトについて聞きました。うちの事業部でもだいぶ話題になっています」など、相手に関連することを話題にして感想を添えるのもおすすめです。

「最近調子はどう?」のうまい返し方

◆話題が見つからない時には教えてもらう

年上の役員や部長、取引先の社長など、あまりに関係性の距離が遠くて、雑談ネタも振りにくい時には「教えてもらう」のが効果的です。例えば「○○さん、旅行が趣味だと伺ったんですが、実は実家の両親を連れて旅行を考えていまして、おすすめの旅行先ってありますか?」

「テニスの腕前がすごいとお伺いしました。実は、私、最近テニスをはじめたんですが、なかなか上達しなくて……。何かコツってありますか?」などと教えてもらう方法です。この「教えてもらう」ことによって相手は承認欲求を満たされるので関係性構築にも効果的ですし、相手の得意とする内容であれば、話も弾むでしょう。

◆「調子はどう?」と聞かれた時の対応

一方、逆の展開も考えてみましょう。突然、エレベーターなどで突然ふたりになってしまい普段あまり話をしたことがない上司や役員から「最近、休みの日は何してるの?」「最近、調子はどう?」など質問をされたとき、あなたならどう返しますか?

もしかしたら、自分のプライベートに踏み込まれたようで不愉快さを感じてしまう、仕事以外のことを話す必要はないと思うかもしれません。もちろん、相手との関係性にもよるので、一概には言えませんが、このような状況であればたいていの場合、相手は「話をつなごう」と雑談のきっかけをつくっているだけで、そこまであなたの休日や調子に興味があるわけではありません。

ですから、あまり神経質にならずに雑談を楽しんではいかがでしょうか。せっかくの機会なので「おかげさまで、うまくいっています」「どちらかと言えば良い方向です」「まあまあです」と一言で終わらず、答えにプラスαの一言を添えて話のラリーを繋いでください。

例えば「休日は、映画を観にいきました」という答えだけだと会話が終わってしまうので、

「休日は、良く映画を観に行きます。この前観た、○○は評判通りアクションシーンがすごくてハラハラしました」とプラスαの一言を添えます。そして一通り答えたあとは、相手に対して「○○さんは、休日何をしているんですか」「○○さんは、最近何か良いことがありましたか?」などと尋ねると会話のキャッチボールになります。

私の周りにいる人望が厚い経営者やリーダーの方の中には、上下の区別なく人を和ませる雑談上手な方が多くいらっしゃいます。仕事に関しては厳しくても、ミーティングの合間の雑談で人となりが何となく伝わってくると、一緒に仕事がしやすくなるものです。

一方、若手の方であれば、普段はあまり話をする機会がない相手から、あなたがコミュニケーション能力のある人なのかを、ちょっとした雑談の印象で判断されているのです。雑談は、適した方法を理解して再現することでうまく話せるようになります。どうぞ自分のやりたい仕事、能力を発揮しやすい環境をつくるための種まきだと思って、雑談力を仕事に活かしてください。

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