年上だからと威張る「老害の人」の正体
それにしても不思議です。
せっかく相手の年齢を気にしなくていい人生を迎えたのに、わざわざ不自由な人間関係を作るのはなぜなのかと考えてしまいます。
仮に自分より若々しく見える人が、じつは年上だとわかっても、そこで敬意やいたわりの気持ちが生まれてくるわけではありません。いまも書いたように「無理しているな」とか「若づくりしてるな」と思うだけで、どちらかといえば軽蔑したり違和感を持ちます。
本書のプロローグで女性の年齢にこだわる男の話を紹介していますが、年齢呪縛に捕まっている人にはそういう傾向があります。女性はそんな男とつき合わなくていいのでした。
自分より若いとわかればどうなるでしょうか。
今度は威張りたくなります。相手の意見や考え方に納得しても、自分のほうが高齢なんだと威張りたくなるのです。これもおかしな心理です。だからなんだというのでしょうか。
年齢には上下関係があります。
単純に言って、年上のほうが偉いというイメージです。年少者が自分より年上の人を敬うというのは儒教が教える道徳の一つになりますが(「長幼の序」)、自分が相手より年上とわかって威張りたくなるというのは、それとは違います。単なるマウントです。
実年齢を権威にしてしまったら、威張るだけの高齢者になってしまいます。これがいちばん嫌われる老害の人ということでしょう。