年を重ねたら「人生観」もマインドリセット

「人生観」であるとか、座右ざゆうめいといった言葉があります。そうした自分にとって「軸」となる考え方も、年齢とともにマインドリセットすべきです。そういうものを、若いころのままから変えないとけっこう不自由だよ、ということを申し上げたいと思います。

和田秀樹『幸齢者』(プレジデント社)
和田秀樹『幸齢者 幸せな老後のためのマインドリセット』(プレジデント社)

たとえば、「働かざる者食うべからず」という考え方を、自分の人生観において大事なものと位置づけていた人がいるとします。ところが、年をとれば誰しもだんだん働けなくなっていくわけです。

すると、「働かずに年金で安穏に生活していていいのか」とか、「年金をちゃんと納めていなかったのだから、暮らしが苦しくても生活保護を受けるなんてもってのほかだ」などと思ってしまいがち。

そうは言っても、いざ高齢者になると、働き口は限られてくるわけです。脳も体も弱っていくわけです。徐々に周囲に助けを求めながら生きていくようになるのが「当たり前」なのです。

マインドリセットできずに、若いときの考えのままで、「そういうことは格好悪い」とか、「ダメな人間のやることだ」などと思ってしまうと、自分自身が苦しむことになるだけです。

「かくあるべし思考」を手放そう

精神医学の世界では、そうした考え方を「かくあるべし思考」と呼んでいます。男たるものこうでなければいけない、人に頼ってはいけない、与えられた仕事は残業してでもちゃんとやらないといけない……。

しかし年をとると、「かくあるべし」のとおりには、とてもとても生きられません。

素直に人に頼っていい、これまでたくさん税金を払ってきたのだから社会から返してもらって当たり前――そんなふうにマインドリセットできるか否かは、残りの人生をよい意味で気楽に生きていけるようになるためのポイントです。

人生観のマインドリセットは、心も体も幸齢者へ近づく大事なものとして、ぜひ意識していただきたいと思います。

【関連記事】
「脳トレはほぼ無意味だった」認知症になっても進行がゆっくりな人が毎日していたこと
「旅行」よりお金がかからずストレス解消効果が高い…人生が激変する「朝4時30分起き」の始め方
「悲しみの深さ」は関係ない…大切な人を失った後に「うつになる人」と「ならない人」のたったひとつの違い
ある日、突然頭が上がらなくなる…日本人にジワジワと増えている「首下がり症候群」の危険なサイン
子どもに月経や射精について話すときに「絶対使ってはいけない言葉」2つ