「ちょっと高血圧」「ちょっと血糖値が高い」「ちょっとコレステロール値が高い」など、人間というものは年齢を重ねるほど、いくつもの軽い検査異常、あるいは軽い病気を抱えてしまうのが普通です。それが「当たり前」であって、上手に体の変化とつき合っていくほかありません。

だから、「withを生きる」という発想が大事になってきます。体の状態と上手につき合って、ひどい状態にはしない。体調の良し悪しで考える。そういう姿勢をもっと大切にしてほしいと思います。

医者とのつき合い方もマインドリセット

病気とのつき合い方以上にマインドリセットが重要なのは、「医者」とのつき合い方です。

私は、お年寄りの患者さんをたくさん診ていますが、日本では「医者と仲良くしないといけない」とか、「医者に嫌われたらまずい」というふうに思っている人がすごく多い気がします。

たとえば、薬を飲んで自分の体に合わなくても、「変えてほしい」とはなかなか言えません。

停止ジェスチャー
写真=iStock.com/delihayat
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中には、角が立つのが嫌だからと、飲まないで黙って棄ててしまう患者さんも多いのです。あるいは、医者の治療方針に疑問があり、「手術は受けたくない」と思っていたとしても、「受けないと嫌われるよね……」と考えて、そのまま医者の言うことを聞いてしまいます。

「嫌な医者」に舐められてはいけない

そうではなくて、訴えても絶対に薬を変えてくれない医者がいたときに、「その薬は、ちゃんとエビデンスがあるんですか?」「日本で大規模調査をやって、こちらの薬のほうが効いたという報告がありますか?」「この薬は、こうした副作用もあるようですが、それについては考えないんですか?」などと指摘して、スマホか何かでちゃんと録音しておく。

そのとき、「そりゃ、エビデンスはないけれど、この薬はいい薬なんだ」「副作用はあまりよくわかってないけど、これで大丈夫だから」といったことを医者が言うのなら、注意義務違反に該当する可能性が高いといえます。しっかり言質をとっておきましょう。

医者に嫌われる可能性を考えて、患者の側がビビっている限り、医者からはめられるだけです。この患者は注意しないとやばいな、訴えられるかも……と医者に思わせたほうが、よほどうまくいく。

相手が信頼できる医者ならば、しっかりあなたの話を聞いたうえで、薬を変えたり、治療法を工夫したり、いろいろ教えてくれたりするはずです。だから、究極には「いい医者」と思える相手とだけつき合えばいいのです。

とにかく、「医者に嫌われてはいけない」という発想はマインドリセットしましょう。