私はこの場で、岸田首相と菅氏が「6月解散見送り」で一致し、さらには今夏に内閣改造・党役員人事を行うことでも大筋合意した可能性があるとみている。岸田首相がつまずき、菅氏は勢いを取り戻しつつある。両者の和解が整う絶妙のタイミングが訪れたといっていい。

今夏の人事の最大の焦点は、茂木幹事長の処遇だ。内閣支持率が下落した昨秋以降、茂木氏はポスト岸田への意欲を隠さなくなり、年明けには首相に十分な根回しをしないまま児童手当の所得制限撤廃を打ち上げ、今春には訪米してポスト岸田をアピールした。岸田首相は茂木氏への警戒を強め、統一地方選・衆参補選では茂木氏よりも森山裕選対委員長を信頼して指揮を任せた。

森山氏は少数派閥(森山派)の領袖。地方議員出身で知名度は高くない78歳のベテランだが、国会対策や選挙対策に精通し、実務型として党内評価は高い。とりわけ菅氏や二階氏とは親密だ。今夏の人事で茂木幹事長を更迭し、森山氏を後任に起用すれば「岸田・菅の和解」による「主流派組み換え」の象徴人事となる。

9月解散含みの政局は続く

地味な森山氏とは別に、目玉人事となりうるのは、茂木派ホープの小渕優子元経産相の官房長官への抜擢だ。小渕氏は小渕恵三元首相の娘で早くから将来の首相候補と目されたが、派閥内で茂木氏に押さえ込まれてきた。茂木氏を更迭して小渕氏を引き上げれば、茂木派を分断することもできる。

岸田派関係者は「現在の松野博一官房長官は安倍派に配慮した人選にすぎず、実質的な官房長官役は岸田派の木原誠二官房副長官が担っている。木原氏と小渕氏は同世代で極めて親しく、小渕氏は外向けの官房長官、木原氏は実務を担う副長官にすればよい」と話す。

さらにサプライズがあるとすれば、菅氏の副総理起用だ。これが実現すれば「岸田・菅の和解」の完成といえよう。昨夏の内閣改造でも「菅副総理」案は浮上したが、麻生氏の猛反対で見送られた。岸田首相としては茂木氏だけ更迭して「麻生副総裁―菅副総理」の挙党体制を築きたいところだが、麻生・菅両氏の確執は深い。どちらを取るのか、ギリギリの判断を迫られるだろう。

6月解散を見送れば今夏の内閣改造・党役員人事が大きな焦点となる。岸田・菅の和解が成立して主流派が入れ替わった場合も、両者が決裂して菅氏が岸田降ろしを再燃させた場合も、9月解散含みの政局は続く。岸田首相が麻生氏と菅氏のどちらに軸足を置いた人事を行うのか、それが最大の注目ポイントだ。

曇天の国会議事堂
写真=iStock.com/kanzilyou
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