首や肩のちょっとした違和感が“サイン”

首下がり症候群になった患者さんの話を伺っていると、「首や肩に少しずつ違和感があったが、それほど深刻に捉えていなかった。ところが、ある日突然、首が上がらなくなった」という方がとても多いことに気づかされます。

隠れていた症状が突然現れたというわけではなく、首下がり症候群は少しずつ進行しているものです。しかし、なかなかそれに気づくことができなかったため、「ある日突然、頭が下を向いたまま上がらなくなってしまった」ということになるのです。

ここに、首下がり症候群の診断の難しさがあります。

仮に「首がだるい、頭が重いような気がする」という理由で整形外科を受診したとしても、「首下がり症候群の初期」と診断するのは難しい状態です。

パーキンソン病などの可能性があるとみて血液検査をする医師はいるかもしれませんが、そこで異常が見つからなかったら「安静にして様子を見ましょう」で終わってしまう可能性もあります。それほどまでに、首下がり症候群の診断は難しいのです。

マッサージや整体で改善したと思い込んでしまう

首がだるい、頭が重いという軽い症状の段階の人は、マッサージや整体の施術を受ければ症状が軽くなったような気がするものです。それは一時的に血行がよくなったことが原因で、根本的に症状が改善することはありません。再び首がだるくなり、頭が重くなり……といった症状に悩まされることになります。そうするとまた施術を受けに行き、一時的に軽くなり、そしてまた症状がぶり返す。

こうしたことを繰り返している間に首や背中の筋肉の異常が進行していき、そしてある日突然、頭が上がらなくなる。ここまで症状が進んでもまだ首の痛みがさほど強くないので、受診が遅れがちになってしまいます。

そして、自宅で安静にしていれば治ると思っていたり、相変わらずマッサージ通いをしたりしていると、完全に頭が下向きになるchin on chestの状態になってしまい、元に戻らなくなってしまう……。これが首下がり症候群の怖さです。