所得税、厚生年金保険料、健康保険料……会社員の給与から5、6つの項目が天引きされている。元国税専門官の小林義崇さんは「給与明細をきちんと見ることが大事です。給与明細で引かれている所得税や住民税がどのようにして計算されているのかを知ることで、節税のしくみを理解できます」という――。

※本稿は、小林義崇『会社も税務署も教えてくれない 会社員のための節税のすべて』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。

給与明細の所得税の項目に向けて置かれたボールペン
写真=iStock.com/takasuu
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給料から引かれている所得税に注目

サラリーマンが節税に取り組むための第一歩が、給与明細をきちんと見ることです。給与明細で引かれている所得税や住民税がどのようにして計算されているのかを知ることで、節税のしくみを理解できます。

給与明細に目を向ける

給与明細に書かれている情報を大きく分けると、「支給額」「勤怠きんたい実績」「控除(天引き)」の3つです。このうち、節税と関係するのが控除です。

〈給料から差し引かれる控除の例〉

• 所得税
• 住民税
• 厚生年金保険料
• 健康保険料
• 介護保険料(40歳以降にかかる)
• 雇用保険料

これらの控除のうち、所得税は源泉徴収というルールにより差し引かれています。給料を支払う企業は、社員から所得税を天引きし、税務署に納めることが義務付けられています。

残る住民税、厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料、雇用保険料については源泉徴収という言葉は使わないのですが、所得税と同様に勤務先が給与から天引きして、それぞれの納付先に納めるしくみになっています。

節税に取り組むときは、まず給与明細から差し引かれている税金や社会保険料にきちんと目を向けることが大切です。そこで「税金が高すぎる」と感じたら、「年末調整で漏もれなく申請しよう」「節税できる方法を考えよう」といった意欲が生まれます。

なお、給与明細に書かれている所得税は仮計算であり、年末調整によって最終的な税額が決まります。そこで、1年間の最終的な所得税を調べるために、勤務先から交付される源泉徴収票も確認しておきましょう。源泉徴収票は勤務先から1年に一度交付されるもので、1年間の給料や賞与の総額の他、年末調整を経た後の所得税額や、所得控除に関係する情報などが記載されています。

給与明細や源泉徴収票には節税につながるさまざまな情報が書かれています。最終的な手取り額しか見ないという方が少なくないと思いますが、一つひとつの控除にも目を向けることが、節税の知識を身につけるための最初の一歩になります。