「頻度」と「価格」は上げられる
まず、「価値循環」のベースにある「循環」がなぜ必要なのか、を説明します。
人口減少下での成長には、人の“数”に依存しなくても付加価値を高めていくことが求められます。企業の売り上げを例にとると、「売り上げ=価格×数量」という式になり、数量を分解すると「人数×頻度」です。
高度経済成長期は人数が増えることで売り上げは伸び、つまり、価格や頻度よりも人数の伸びに依存して成長してきたということです。
しかし、人口減少下で人数を伸ばすことができないとすると、伸ばせる要素は2つあり、「頻度」を高めることと、「価格」を上げることが必要です。
ここでは、取引の頻度を増やして“量”を増やすことを「回転」、取引を通じて得られた情報や知見を基に製品やサービスの“質”を高めて価格を上げることを「蓄積」と呼び、これらを統合して「循環」と捉えています。
つまり、仮に人口が減ったとしてもヒト、モノ、カネ、データの“4つのリソース”を効果的に循環させることができれば、経済活動の量と質を高めて成長につなげることが可能です。
将来有望な4つの市場
さらに、こうしたリソースの循環を、「新たな需要」へとつなげてゆくには、将来にわたって市場として広がり得る“4つの機会”に着目すべきです。
有望な4つの機会としては、具体的には、「グローバル成長との連動」「リアル空間の活用・再発見」「仮想空間の拡大」「時間の蓄積が生み出す資産」が挙げられます。
このように人口減少下の日本では、「価値循環」という考え方のもと“4つのリソース”の循環と、将来市場が広がる“4つの機会”を生かすことが成長の原動力になります。それらを相互にかけ合わせることで「新たな需要」を創出し、持続的に成長していくことができるのです。