「伝わる文章」を書くためにはどうしたらいいか。ルポライターの安田峰俊さんは「『伝わる文章』とは、情報を伝達するときに生じる『抵抗』が少ない文章のことだ。文章力に自信がない人は、自動翻訳ツールなどを使って、正確な外国語に翻訳できる文章を書く訓練をするといい。書きたいことの見取り図を作り、150~300字程度の部品をつなぎ合わせれば、理論的には誰でも伝わる20万字の文章を書けるようになる」という――。

※本稿は、雑誌『プレジデント』(4月14日号)に掲載された「実践!「文章が書けない」病の克服法」の一部を大幅に加筆したものです。

ノートパソコンを使用する人の手元
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電流と同じように「抵抗」の低い文章を目指す

① そもそも伝わる文章ってなんですか?

私が定義するなら「義務教育を終了した令和の日本人の大部分が誤読しない」「何度も読み返さなくても、書いてある内容を一発で理解できる」のが、伝わる文章です。

もっとも、文章が一定以上の長さを超えると、たとえプロの書き手でも、自分が本来伝えたい内容を100%漏れなく読者に理解してもらうことはなかなかできません。それでも、元の情報を可能な限り取りこぼさずに読者に伝えられる文章を目指す必要があります。

中学校の理科の時間に、電流の流れを阻む「抵抗」について習ったのを覚えていますか? 「伝わる文章」とは、情報を伝達するときに生じる「抵抗」の数値(Ω)が低い文章のことです。逆に言えば、文法的におかしかったり表現が難解すぎたり、伝え方が遠回しだったり言葉足らずだったりする悪文ほど「抵抗」は上がり、本来伝えたい情報が5%や10%しか読者に伝わらないという惨憺さんたんたる事態になります。

「抵抗」が最も低い文章の実例を挙げておきましょう。それは、AIの「ChatGPT」に正確な指示が出せる文章、自動翻訳ツールの「DeepL」で正確な外国語に翻訳できる文章です。自分の文章がどうしても伝わりにくいことに悩んでいる人は、これらを使って訓練するのをオススメします。AIに確実に伝わる文章は、人間に最も誤読されにくい「伝わる文章」でもあります。