ミステリーの名著20作品一覧

■カラスの親指 道尾秀介著、講談社
中年詐欺師ふたりのもとに、同業者の少女が転がり込んで奇妙な共同生活が始まるが、住み家は放火されてしまう。彼らは綿密な計画を立てて犯人と対峙する……。2008年刊。

■火車 宮部みゆき著、新潮文庫
休職中の刑事が、失踪した知人の婚約者の行方を追う。次第に明らかになるのは、カード破産で行き場を失った彼女のいたたまれない人生だった。1992年刊。山本周五郎賞受賞。

■七回死んだ男 西澤保彦著、講談社文庫
主人公の高校生は、月に数回、夜中の12時になると「反復落とし穴」に入って9回同じ日を繰り返す。その特異な体質を利用して祖父殺しを未然に防ごうとする。1995年刊。

■リプレイ ケン・グリムウッド著、杉山高之訳、新潮文庫
ラジオ局に勤める43歳のディレクターは心臓発作で突然死するが、気がつくと18歳に逆戻りしていた。こうして、やり直しの人生を送ることに……。1988年度世界幻想文学大賞受賞。

■フィーヴァードリーム 全2巻 ジョージ・R. R. マーティン著、増田まもる訳、創元推理文庫
吸血鬼のジョシュアが、一族の繁栄を願って人間との共存を試みる。吸血鬼を受け入れるのはミシシッピー川を航行する船長。彼らの旅が始まる。

■陰の季節 横山秀夫著、文春文庫
刑事ではなく警務課捜査官という裏方的な業務を担当する管理部門の警察官を主人公にした4編からなる短編集。

■B・D・T[掟の街] 大沢在昌著、角川文庫
無法地帯となった近未来の東新宿で、私立探偵ヨヨギ・ケンが失踪した女性歌手を探す。冒険アクションの傑作。

■秘密 東野圭吾著、文春文庫
最愛の妻と娘を乗せたバスが崖から転落。意識を取り戻した娘の体には死んだはずの妻の精神が宿っていた。

■罪の段階 全2巻 リチャード・ノース・パタースン著、東江一紀訳、新潮文庫
正当防衛か謀殺か。主人公は有名作家を射殺した元恋人を担当する敏腕弁護士。法廷ミステリーの最高傑作。

■檻 北方謙三著、集英社文庫
5年前にやくざ稼業から足を洗ってスーパーと喫茶店を営む男が、度重なる嫌がらせを受けて、ついに牙をむく。

■夜のオデッセイア 船戸与一著、徳間文庫
八百長ボクシングで稼ぎながらアメリカ大陸を大型ワゴンで横断する主人公たちが、マフィアやCIAと闘う。

■永遠の仔 全5巻 天童荒太著、幻冬舎文庫
児童養護施設で秘密を分かち合った3人が、弁護士・警察官・看護師となって17年ぶりに再会する。

■蒼茫の大地、滅ぶ 全2巻 西村寿行著、角川文庫
トノサマバッタに農作物を食い尽くされた東北6県が、奥州国として日本からの独立を図るパニックサスペンス。

■傭兵たちの挽歌 全2巻 大藪春彦著、徳間文庫
グリーンベレー(米特殊作戦陸軍)の兵士としてベトナム戦争を戦った主人公が、世界的テロ組織に挑む。

■背いて故郷 志水辰夫著、新潮文庫
スパイ船の船長の座を親友に譲った後、その友は殺されてしまう。真相を探るために主人公は調査を開始する。日本推理作家協会賞受賞作。

■水上のパッサカリア 海野 碧著、光文社
半年前に連れ合いを交通事故で亡くした主人公のもとに昔の仲間が訪れ、事故は謀殺だったことを告げられる。

■ナヴァロンの要塞 アリステア・マクリーン著、平井イサク訳、ハヤカワ文庫
第二次世界大戦中、連合軍の精鋭部隊はドイツ軍が陣取るエーゲ海ナヴァロン島の要塞を爆破する作戦に向かう。

■大穴 ディック・フランシス著、菊池 光訳、ハヤカワ文庫
イギリス競馬界の闇を探る、元チャンピオン・ジョッキーの名探偵シッド・ハレー。4作シリーズの1作目。

■狼殺し クレイグ・トーマス著、竹内泰之訳、河出文庫
仲間の密告によってゲシュタポに捕まりながら生き延びたイギリスの諜報部員が、19年後に復讐の機会を得る。

■千尋の闇 全2巻 ロバート・ゴダード著、幸田敦子訳、創元推理文庫
元歴史教師の主人公は、旅先で半世紀前に謎の失脚を遂げたイギリス人青年政治家にまつわる奇妙な逸話を知る。

(構成=小檜山 想 撮影=若杉憲司)