過干渉は部下の成長を止めてしまう

上司の過干渉が続くことの一番の問題点は、部下の成長が止まってしまうことです。

過干渉の上司はもともと、「部下に任せることで失敗したくない、傷つきたくない」「本当は部下に任せるよりも、全部自分がやったほうが早いしいい仕事ができる」と思っている人が多く、プレーヤー気質が抜けていません。

すると、当然ながら部下の成長を阻害します。上司が細かい指示や確認をしてくるのは、部下の方は、最初のうちは面倒でうんざりするかもしれませんが、自分でやり方を考えなくていいので、言われた通りにすることが楽になってきます。この状態に慣れてくると、部下の側は、自分の成長が止まっていることに気づけません。

さらに、こういったプレーヤー気質が抜けない過干渉上司は、プレーヤーとして優秀な人も多いので、言われた通りにやっていれば、仕事の成果が上がってしまうことも多い。結局、過干渉な上司のペースにのみ込まれて、気づいたら自分一人では仕事ができず、いざ転職しようにも、どこにも通用しない「使えない人材」になってしまう恐れがあります。

過干渉上司は再生産する

また過干渉上司の下についた部下は、マネジメントの仕方を学べないので、自分が部下を持ったときに、また同じような過干渉上司になる可能性もあるのもこわいところです。過干渉上司は、過干渉上司を再生産してしまうのです。

こうした上司は、「これまで自分がやってきたやり方」を部下に踏襲させようとするので、もし効率が悪く、ムダの多いやり方があってもそのままになってしまいます。結局、古いやり方が変えられません。

会社にとっては、部下を育てないうえに、新しいやり方やアイデアが生まれなくなるので、成長を阻害する存在でしかなく、致命的です。過干渉上司が多い会社は、成長性がない会社になってしまいます。

最近の若い人たちは、SNSなどでほかの人との差を可視化されることが多いせいか、何かと「成長」を求める傾向があります。「仕事を通して自分はどう成長できるか」「そのチャンスが今の会社にあるのか」を考えている人が多いのです。そこをくみ取らないと、会社は優秀な若い人たちをとどめておくことができません。優秀な人ほど、過干渉上司が多い「変わろうとしない会社」には不信感を抱き、いずれ離れてしまうでしょう。