翌年は今の自分=1の1割増「1.1」…40年継続で「45」

自分でものを考えていくうえで重要なのが“好奇心”です。車のエンジンを例にとってみましょう。エンジンの出力は「トルク(回転する力の強さ)×回転数」で決まります。僕はこの公式は人間にも当てはまると思っています。

トルクに当たるのが、人間の場合は地頭というか、持って生まれた能力のこと。みなさんは開成に合格したわけですから、平均的な中学生よりもこのトルク値は高いはず……ですね?(笑)

では、どのくらい高いか。ちなみに人間とゴリラのIQはせいぜい20ぐらいしか変わらないそうです。となると同じ人間同士で比較した場合、その差はほんのわずかなものでしかない。他人の5割増しの地頭を持って生まれるというのは不可能だと僕は思います。

つまり人間というエンジンの出力の差は、ほとんどが回転数の差だということになります。この回転数に相当するのが好奇心なのです。

松本大氏
撮影=岡村智明
マネックスグループ代表執行役CEO 松本大氏

好奇心の強さというのは人によって大きな差があります。平均的な人の70%しか持っていない人もいれば、140%の人もいる。この両者を比較すれば、持って生まれたトルク値は変わらなくても、出力は倍になりますね。

しかも、君たちの人生はまだまだ先が長い。何十年もあります。人より1割好奇心を余計に持つだけで、10年後にはその10乗、数十年後には数十乗となって、一生を通してみればほかの人よりもはるかに大きな出力を発揮できるわけです。

ちなみに、1割増しの40乗って何倍になると思う? ちょっと計算してみようか。(スマホに向かって)1.1の40乗は? 45倍だって。すごい差になりますね。大事なのは「人より優秀であること」ではなく、好奇心を起爆剤として「自分の力を使い切ること」だと僕は思っています。