メディアへの情報漏洩者を洗い出し、統制していくため?

「広報よりもむしろ情報管理のプロであることは間違いないと思います。週刊誌を舞台にした皇室報道やSNS上で秋篠宮さまや眞子さんに異議を唱える投稿などに対して、今後は毅然きぜんとした対応をとる。いわば秋篠宮さまのご意向を受け、睨みを利かせるという姿勢を感じます」(宮内庁関係者)

元警視総監で現宮内庁長官である西村泰彦氏は、3月23日の定例記者会見で、「あまり深く考えていなかったですが」と前置きして、皇室に対する国民の親近感を醸成するため、宮内庁として何ができるか考えていかないといけないと述べるにとどまったという。

だが、国民に親近感を持ってもらうためなら、今回の人事は逆方向を向いていると思わざるを得ない。スパイを取り締まる強面の人間に対して、いきなり親近感を持ってくれというのは無理がある。

SNSを活用したり、皇室の人たちの動向をいち早く国民に知らせたりする広報活動なら、警察庁の外事課のエリートをわざわざ持ってくる必要はないのではないか。

これから、秋篠宮佳子さん、天皇の長女・愛子さんの結婚も控えている。秋篠宮の長男・悠仁さんの進学問題もある。

そうしたことに備えて、内部にいるメディアへの情報漏洩者を洗い出し、情報を統制していくために、その道のエキスパートを異動させたのではないのかと勘繰りたくもなる。

週刊誌メディアの“警戒感”は相当強いものがある。

女性自身(Web版4月4日6:00)は、宮内庁関係者のこんな声を伝えている。

「戦前のような『閉ざされた皇室』となりかねません」

「藤原さんは“情報統制”といったセキュリティやリスクマネジメントの専門家であって、皇族の方々に対して国民が抱く親近感を高める広報の専門家ではないことに、早くも心配する声が聞こえてくるのです」

皇室担当記者も、

「広報室の体制も発表されたのですが、特に『渉外専門官』というポストが設けられることに波紋が広がっています。その仕事は“皇室の名誉を損なう不適切な出版物などへの対応を想定する”とされているため、“今後は批判を許さないということなのか”と疑問を持たざるをえません」

複数の雑誌をまとめて開いている
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皇室制度の歴史に詳しい静岡福祉大学名誉教授の小田部雄次氏もこう警鐘を鳴らしている。

「情報収集や“監視”に力を入れている部署を率いた警察官僚が広報室のトップになることで、皇室の“正しい情報発信”というより、国民の皇室に対する意識の把握や“メディアに睨みを利かせる”部署であるという印象が強まってしまう懸念があります。(中略)

広報室が警察的な仕事をする組織になってしまえば、皇室に対する国民の敬愛の念は委縮し、『開かれた皇室』という理想は崩れ、戦前のような『閉ざされた皇室』となりかねません。戦後の皇室が長い年月をかけて育ててきた国民との信頼関係を崩しかねない危うさを、この人事ははらんでいると思います」