※本稿は、小林義崇『元東京国税局職員が教えるお金の基本』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。
ほしいものリストで衝動買いをなくす
無駄遣いを減らすには「感情のコントロール」が必要です。
そこでおすすめしたいのが、実際に多くのミニマリストが実践しているという「ほしいものをリスト化する」というシンプルな方法です。
まずは紙でもスマートフォンのメモアプリでもいいので、「ほしいもの」と「金額」を書き出してみてください。私の場合、1万円以上の商品はいったんリスト化しています。
次に、そのリストから、「緊急度」の高いものをピックアップしましょう。具体的には、次のチェック日までに必ず買うべきものを選んでください。このチェックを月に1回行えば、「1カ月後までに買うべきものはどれ?」と考える習慣ができます。
たとえばスマホの新機種がほしくなったら、それをリストに書きます。そのうえで、「すぐに買う必要はない」と思えば購入を控えます。そして、すぐに買うべきものがあれば、購入してリストから削除します。
ポイントはここからです。次回のチェック日になったら、あらためて前回のリストを見てみましょう。そこには、ほしいと思っていたものが並んでいるはずですが、時間を置いて見ると、多くのものは前回と比べて、ほしい気持ちがなくなっているはずです。
最初に「ほしい」と思った瞬間は、広告などの影響を受けている可能性があります。広告に関する心理学の研究はいくつかありますが、その中から「ザイオンス効果」というものを紹介します。
これは、何度も接触するうちに、親近感が増したり好意的になったりするという効果です。あなたも、最初はピンと来なかった商品が、何度も広告などで目にするうちにほしくなったことはないでしょうか。いつも見ているテレビ番組で流れているCMのように、繰り返し広告を目にすると、否応なしに感情が動かされてしまうのです。
でも、広告から興味がわいたとしても、本当にその商品があなたにとって必要なのかは確かではありません。
他にも広告には心理学や経済学を応用したさまざまな工夫がされていて、あなたの購買意欲を刺激してきます。だから時間を置いて広告などで動かされた感情をリセットすることが大切なのです。
ほしいものリストを継続して活用していると、リストにメモをしただけでも一定の満足感が得られるようになるはずです。ほしいものを買うという行為は「ストレス解消」につながるというデータがあります。衝動買いが多い人は、その場のストレス解消が目的になってしまっているのです。
この解消の方法を、「買う」から「メモに書く」に置き換えることができれば無駄遣いは大きく減らせます。そして時間が経って、もはや「ほしい」という気持ちがわかないものはリストから消してしまいましょう。こうすることで、本当にほしいものだけを本当に必要なタイミングで買えるようになるのです。