浪費をなくし家計を見直さねばと思いつつ、実現できないのはなぜか。元東京国税局職員でマネーライターの小林義崇さんは「最初に取り組みたいのは固定費の削減です。家賃・保険料・サブスクリプションサービス(動画や音楽など)・スマホ代、それに毎日惰性でスタバのラテを飲むような習慣も控えたほうがいい」という――。

※本稿は、小林義崇『元東京国税局職員が教えるお金の基本』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

家計の見直しは固定費の削減から

家計改善には収入を増やすことも大事ですが、すぐに取り組めるという意味では支出削減のほうが効果的です。

お金を稼ぐことに比べて、お金を使うことははるかに簡単だということは、多くの方が実感されるのではないでしょうか。無駄遣いがあるのであれば、これをいかに減らせるかが、資産運用に取り組むうえで重要です。

支出削減のために最初に取り組みたいのが、「固定費」の節約です。固定費とは、以下のように毎月かかる費用をいいます。

・家賃
・保険料
・サブスクリプションサービス(動画や音楽など)
・携帯電話料金

固定費が怖いのは、普段は支払っている意識がないことです。ためしに、あなたがこれら固定費に毎月支払っている金額を思い浮かべてみてください。きっと、はっきりと答えられないのではないでしょうか。

支払っている意識がないのに、家計の大きな負担になっている。これが固定費の特徴であり、真っ先に見直すべき理由なのです。

固定費の見直しが効果的なのは、一回の行動が長期的な節約につながるからです。たとえば保険や携帯電話料金などを見直して、毎月2万円の固定費を浮かせたとしましょう。これは30年間で720万円ものお金を節約できることになります。これだけのお金を、たとえば食費の節約で貯めようとすると、かなり大変です。

携帯電話を例にとって考えてみましょう。月々携帯料金に1万円を使っていたとします。最近注目を集めている格安SIMなら、プランによっては、ひと月あたり1000円以下に抑えることも可能です。自分が使う月々の通信料によって適切なプランを検討する必要がありますが、大手に限らずさまざまな情報を集めることが重要です。

固定費を見直して浮いたお金は、投資にまわすことで増やすことができます。月2万円の積立投資を30年間続け、仮に平均利回り5%で運用したなら、約1665万円になる計算です。

そのように考えると、できるだけ早く無駄な固定費をストップすることが、将来に大きな影響を与えることがわかります。

固定費を見直すためには、月に1度は支出チェックを行うと無駄に気づきやすくなります。預金通帳やクレジットカードの明細を見たり、マネーフォワードなどの家計管理アプリを使ったりして、1カ月間の固定費に無駄がないかをチェックしてください。

こうして無駄な固定費を洗い出したら、すぐに支払いをストップしましょう。後回しにしていると忘れてしまうので、今すぐにやらなくてはいけません。

固定費につながる支払いをするときに、慎重に考えることも大切です。たとえば家を引っ越すとき、携帯電話や保険の契約をするとき、動画配信などのサブスクリプションサービスに加入するときなど。「月500円だからいいか」「無料期間があるから試してみよう」などと安易に考えてはいけません。