3人に1人は地元出身でない「落下傘知事」

ほかに複数いるのは、早稲田大学が3人、慶応大学、中央大学、一橋大学が2人、あとは1人ずつで、国立では、東北大学、お茶の水大学、千葉大学、防衛大学校、九州大学。私立では法政大学、専修大学、日本大学で地方の私大は1人もいない。

残りは熊本の蒲島郁夫が高卒の農協職員から渡米してハーバードなど米国の大学を出たのと、東京の小池百合子が関西学院大学中退でカイロ大学留学、沖縄の玉城デニーが上智専門部卒だ。

また、意外なことは、他府県出身者が多いことだ。現在は47都道府県中で17都道府県が県外出身者である。ただし、知事に立候補するまでまったく無縁だった人はない。全員、県内でなんらかのかたちで働いていたし、4人については、両親や祖父母などの出身地だ。過去でもまったくの落下傘となると、高知県での橋本大二郎くらいのようだ。

また、地元以外出身の知事に寛容なところとそうでないところも顕著だ。東京は安井(岡山)、東(大阪)、石原(兵庫)、猪瀬(長野)、舛添(福岡)、小池(兵庫)と都外出身の知事のほうが多く、地元出身は、美濃部、青島、鈴木俊一の3人だけだし、地方でも石川は1963年以来、県外出身の知事が続いている。

不祥事によって辞職した前知事は3人

次に、知事の1人当たり平均任期が何年かだが、現職については、今後、何年務めるか分からないので、前職までを対象に分析したところ、総人数は291人で、平均は10.8年である。

4年間の任期途中で辞める人もいるから、3期12年が標準とみて良い。あの安倍晋三首相の通算首相在任期間も8年8カ月だから、いかに知事の地位が安定しているかが分かる。

ただし、20世紀の最後の時期に保革相乗りがブームになって、現職知事が選挙で非常に強かった時期に比べると、もっとも強いと言われる2期目でも安泰とはいえなくなっている。

現職でありながら落選した9人の内訳を見ると、野党系で最初の勝利が幸運だったと言うべきなのが、福田昭夫(栃木)、後藤斎(山梨)、大田正(徳島)、三反園訓(鹿児島)で、自民党系ながら改革を急ぎすぎたのが齋藤弘(山形)、多選批判に負けたのが橋本昌(茨城)、石井隆一(富山)、西川一誠(福井)といったところだ。