高い買い物は使い倒してこそ価値がある

【パパ】「たとえば、豪華客船で世界一周旅行をするのにかかるお金は300万~500万円ほど。自分のカフェバーをオープンさせるのだって、1000万円もあれば可能だ。つまり、自分の可能性を広げる経験が充分にできるほどの金額を残し、人生を楽しむことを先送りしたまま生涯を終えていく人がとても多いってことだ。とてももったいない、と感じないかい?」

【穣一】「そう言われれば、たしかに……」

【パパ】「ガソリン代がもったいないからといって、マイカーに乗るのを控える。電気代がもったいないからといって、エアコンを使うのを控える。高かった毛皮のコートが汚れるのが嫌だからと、クローゼットの中にしまっておく。たしかにそういう判断もあるかもしれないけど、冷静に考えてみると、乗らない車、使わないエアコン、着ないコートの存在価値ってなんだろうって、疑問に思うんだよね」

【穣一】「たしかに、乗らないマイカー、使わないエアコン、着ないコートって、そもそも持っていないのと同じですよね。せっかく買うときに大きな出費をしたのに。だったら徹底的に使い倒さないと、もったいないって感じますね」

節約貯金ばかりでは魅力的な人間にはなれない

【穣一】「でも、節約貯金って、常識みたいになってますよね」

【パパ】「お金を貯めようと節約貯金をすることは、いま使えるお金を少なくするってことだよね。結果として、自分ができることの幅や深さをわざわざスケールダウンさせることと同じだろう?

『お金がもったいないから本を買わない』
『お金がもったいないから勉強会に行かない』
『お金がもったいないから旅行にも行かない』

そんな生活を続ければ、たしかにお金は貯まる。でも、それでその先いったいどれほど魅力的な人物となるか、僕は疑問なんだよね」

図書館の机の上の本をクローズアップします。
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【慶太】「たしかに、父さんもよく言ってるよね。自分の幅を広げるものは3つある。人と会うこと、旅をすること、本を読むことだって」