葬式代目的で入るなら
物価上昇に連動しやすい変額終身がベスト
死亡時に保険金が受け取れる、死亡保障の王道が「終身保険」。多くが遺族のためや、自分のお葬式代のために加入するが、しかし、50代以上なら「不要」という考えが2位にランクインしているのは衝撃的だ。「死亡保障が必要な時期は、お金が貯まるまでの若い時期だけ」という深田晶恵氏は「50代には不要。保険料が高い終身保険に魅力を感じない」と断言する。しかし、50代の資産家なら、「相続」対策に使う手もありと指摘する。このほか、「葬式代目的なら、保険ではなく貯蓄で」(浅田里花氏)、「多くの資産形成層には不要。ただし、相続対策なら、保険金額を割安で準備できる、2位にランクインしている『長割り終身』(東京海上日動あんしん生命)がいい」(内藤眞弓氏)という不要論もあった。
さて、堂々の1位にランクインしたのは、「バリアブルライフ」(ソニー生命)。決まった保険金が受け取れる一般的な定額タイプではなく、受け取る保険金は運用次第という変額保険である。「一般的な定額保険に比べると、保険料が割安」という岩永慶子氏のほか、ほとんどのFPが選んだ理由を、その割安さとしている。
しかし、万一の場合の保険金が、いくらになるかわからないというのはいささか不安だ。しかし、「死亡保険金には、最低保障あり」(岩永氏)。どんなに運用成果が悪くても、保険金の最低額は約束されているという。ならば、安心だ。ただし、「解約返戻金は運用結果次第で、いくらになるかわからない」(清水香氏)。運用がままならない中での途中解約には、注意が必要だ。
この保険のもう一つの魅力は、運用がよかったとき。「運用実績が3.5%を超えると、運用成果分を途中で引き出すことができる。もちろん、当初の保障額は変わらない。運用と保障のダブルの妙味あり」(岩永氏)。
このほか、「過去の葬式費用の上昇率は、4~5%。お葬式代目的で入るなら、物価上昇に連動しやすい変額終身がベスト」(宮越肇氏)、「インフレに備えられる」(小川千尋氏)という意見も。多くの保険事例を収集・リサーチする保険マンモスの代表・古川徹氏も、「プロの取り扱いNo.1」として選ぶ。
2位の「長割り終身」は、保険料の安さ、一定期間後の解約返戻金の上昇率から、保障にも貯蓄性にも優れているとランクイン。田中香津奈氏は、「保険料払込期間を1年きざみで選べるので、学資保険にも利用可」と推す。
終身保険でユニークなのは、このほかはすべてドル建てだったこと。共通する理由は、保険料の安さと貯蓄性の高さ。「『ドル建とく割』(2位)なら、外貨建てでありながら為替手数料がかからないのが魅力」(亀甲美智博氏)、「『MyFuture』(5位)は、運用はドルという金利の優位性。保険金、保険料は円という安心感がいい」(神戸孝氏)といったコメントもあった。