恋愛、自己肯定感…分野別で400以上の「信念バイアス」がある
このようにわたしたちは、気づかないところで、「信念バイアス」の影響を受けています。
わたしも長年ビジネスからお金、ダイエット、恋愛、自己肯定感などあらゆる分野でうまくいく人とそうでない人の「信念バイアス」を研究していますが、お金だけでも少なくとも76パターン、ダイエットでは62パターン、恋愛だけでも88パターンの信念が存在しており、全体で400以上の分野別の「信念バイアス」のパターンを見つけています。
たとえば、自己肯定感が低い人は「成功しないと、自分には価値がない」と信じていたり、お金でうまくいかない人は「お金とは出ていくものだ」と思っていたり、恋愛でうまくいかない人は「つき合うと自由が奪われる」などの「信念バイアス」をもっています。
人はうまくいく分野もあれば、うまくいかない分野もありますが、もし長年うまくいかない分野があるとしたら、それは自分を制限している「信念バイアス」が関係している可能性があります。
同じように、一度のミスで「もう全部オワタ……」と努力を手放すことをくり返していると、だんだんそれが当たり前になってきてしまいます。
「それは絶対に本当か」と自分に問いかける
もしそんな事態を避けたいのであれば、自分にこう問いかけてみてください。
それは「いま思っていることは、100パーセント絶対に本当なのか?」
すると、必ず、例外が存在することに気づきます。
たとえば、「1つの失敗はまわりからの評価を下げる」と信じていたら、「それは絶対に本当か?」と自分に問いかけます。
すると、「隣の部署のAさんは失敗しても、いつもそこから成長して人から好かれているな」「失敗してもそこから学ぼうとするその姿勢こそが、まわりから評価されるんだな」など、自分でもビックリする答えが出てきたりします。
たとえば、「体力がない人は成功できない」と信じていたら、「それは本当か?」と投げかけます。すると、「松下幸之助さんは体は弱かったけど、あんなに素晴らしい世界的企業をつくった」「体力よりも頭を使ったり、人脈のほうが大事なんだな」など、そこから「信念バイアス」は徐々に崩れ去っていきます。
「信念バイアス」を改善する方法はいろいろありますが、まずは簡単にできる質問からはじめてみてください。
※1 全か無かの思考(スプリッティング) Carser D.“The defense mechanism of splitting: developmental origins, effects on staff, recommendations for nursing care”, J. Psychiatr. Nurs. Ment. Health Serv., 1979, Vol.17 (3), p.21-8/ Gould JR, et.al.“The Splitting Index: construction of a scale measuring the defense mechanism of splitting”, J. Pers. Assess, 1996, Vol.66 (2), p.414-30/Kelly J.D. 4th.“Your Best Life: Managing Negative Thoughts-The Choice is Yours”, Clin. Orthop. Relat. Res. 2019, Vol.477(6), p.1291-93
※2 信念バイアス Evans J.S.B. et.al.“On the conflict between logic and belief in syllogistic reasoning”, Mem. Cogn. 1983, Vol.11, p.295-306/Evans J.S.B., et.al.“Necessity, possibility and belief: a study of syllogistic reasoning”, Q. J. Exp. Psychol. 2001, Vol.54, p.935-58
※3 記憶力は信念バイアスで変化する Thomas, A. K.,& Dubois, S. J.“Reducing the Burden of Stereotype Threat Eliminates Age Differences in Memory Distortion”, Psychological Science, 2011, Vol.22(12), p.1515-17
※4 信念バイアスと減量効果 Crum AJ.& Langer EJ.“Mind-set matters: exercise and the placebo effect”, Psychol Sci. 2007, Vol.18(2), p.165-71