2022年のMLBの収入は約1兆5000億円
MLBの2022年の総収入は、米フォーブス誌によれば、史上最高額となる108億~109億ドル(約1兆4600億~1兆4700億円)だったとされている。
MLBでは放映権料やライセンスフィーなどの「ビッグビジネス」をMLB機構が全30球団を代表して担っている。全米規模の放送局やネットメディア、エージェントなどとトップセールスで交渉を行っているので巨額、複数年の契約をすることが可能なのだ。
これに対し、NPBは12球団が個別に行っている。各球団が昔からなじみの放送局と個別に契約する。メディア系の球団の場合、系列局に放映権を販売することもある。
ゆえに、巨額の契約に結び付かないことも多く、なによりスケールメリットがないからビッグビジネスにはならない。
ビジネスの「発想」が全く異なっているのだ。
高卒→メジャーという人材流出
名門球団といえども経営改革をしなければ脱落する厳しい環境を生きているMLBと、親会社の庇護の下「安全運転」で存続してきたNPB。
流れの速い水に棲む魚と、よどんだ池に棲む魚の姿かたちが違ってくるように、MLBとNPBの球団そのものも全く別物になりつつある。
近年、プロ野球を経由せずにアメリカ野球に挑戦する日本の中学生、高校生が増えている。そうした球児をMLB流で指導する野球教室もできている。
厳しい競争環境ではあるが、球児たちは「自分の力を試してみたい」「成長を実感したい」と海を渡るのだ。
プロのトップ選手だけでなく、若い競技者レベルでも「人材流出」は起こっている。
今回のWBCを経て、若い野球選手の視野はさらに海外へと広がるだろう。
NPBは目先の安定維持の「その先」を考え、企業体質を変革すべき時に来ている。