自分らしく幸せに生きるにはどうすればいいか。脳科学者の西剛志さんは「タワマン上層階の住人が下の階の人に威張ることがあるように、脳は自分と誰かを比較して優越感を覚えたがる。この比較をさらに悪化させる『自己中心性バイアス』は、幼いときに自尊心が満たされなかった人ほど強く残っている」という――。

※本稿は、西剛志『あなたの世界をガラリと変える 認知バイアスの教科書』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

東京湾海辺エリアのタワーマンション地区
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タワマン上層階の住人が優越感を覚えて、威張ってしまう理由

「人はみな平等」とは言うものの、ついついわたしたちは心のなかで上下のランクづけをしてしまうものです。たとえば……

あいつは営業成績こそ上げているけど、性格が悪いから俺より下。

彼女は服のセンスもいいし、勉強もできるから、確実にわたしより上。

友人の実家が裕福だと知ってから、わたしより上の人と思ってしまう……など。

また、タワーマンションでは資産価値が高いとされる上層階に住んでいる住人のほうが、下の階の人に対して優越感を覚えたり、威張るような態度をとる傾向があるとも言われます。

このように、つい自分と誰かを比べて考えてしまうのは、「比較バイアス(コントラスト効果)」という認知バイアスの働きです。AとBと自分。本来、比べなくてもいいところにもの差しを当てて、比較してしまいます。

そして、この比較をさらに悪化させるのが「自己中心性バイアス(Egocentric bias)」です(※1)

「自己中心性バイアス」は、他者の視点ではなく自分の視点からしか見られない傾向のこと。事実を自分の都合がよいように解釈してしまう認知バイアスです。この「自己中心性バイアス」は未発達の幼い子どもに多く見られますが、成長とともに弱まっていきます。

しかし、幼いときに「自尊心」が十分に満たされなかった人は、大人になってもこの「自己中心性バイアス」が残っていることが多々あるのです。