女性よりも男性のほうが自分の視点を中心に考えやすい
このバイアスがあると、たとえば、過去にとったテストの点数を実際の点数よりも高く見積もったり、釣った魚が人よりも大きく見えたり、同じ仕事をしても自分はあの人よりも貢献したと主張したり、武勇伝をやたら話したがる中年になったりします。
また女性よりも男性のほうが自分の視点を中心に考えやすく、「自己中心性バイアス」が強いという報告もあります(※2)。
また「自己中心性バイアス」が強く働くと、相手への嫉妬心、攻撃心まで高まっていきます。
というのも、わたしたちは誰もが自分のことを重要な存在だと思いたい生きものだからです。この自己重要感を満たすために、下に見た相手を攻撃したり、上にいる相手の過失を見つけて引きずり落とそうとします。
店員さんに横柄な態度をとったり、芸能人のスキャンダルを炎上させるようなコメントをネットに書き込んだり……。こうした人たちも同じような現象です。
さらに、自分の地位が高くなっていくと「エリート効果」というバイアスが働くため、公平性より効率化を重視するようになり、不平等に寛容になってしまいます。
たとえば、海外で行なわれた研究では、高級車に乗っている人ほど、交差点で人が立っていても止まってくれる確率が下がってしまったそうです(※3)。
「自己中心性バイアスをとり除く」とっておきの方法
「自己中心性バイアス」があると、「比較バイアス」が強く働いてしまうため、人を上下で判断することになってしまいます。
この認知バイアスを弱めるためには、どうすればよいのでしょうか?
そのためには、自分ではなく人の目線で考えることが重要です。一度は相手の靴をはいてみるという考え方です。
おすすめは、「わたしは○○だと思う」と言うのではなく、「尊敬する人だったら、○○だと思う」と言ってみることです。言葉とは不思議なもので、主語をほかの人に変えるだけで、認知が相手視点に変わってしまいます。
そして、もう1つの方法が「いろいろな人の考え方を知ること」です。面白い研究があって、バイリンガルの人などいろいろな文化に触れた人は「自己中心性バイアス」が減少するという報告があります(※4)。
文化を超えていろいろな人の考えを理解することで、自分の世界観が広がり、他者の視点に立ちやすくなると言われています。