想像力の持つ三つの働き
想像力というのは、私たちが思っているよりもずっと身近で、生活のさまざまな場面で使うことができる技です。そのことに気づくだけでも想像力は活発化します。想像力は後天的に高めることができる技術です。
ただし、一口に想像力と言っても、その働きは大きく三つに分けられます。自分と他人とをつなぎ、人間の理解力全般を支えている「対人想像力」、新しいものを生み出す「クリエイティブ想像力」、そして、先を見通して予測する「未来想像力」です。
1.対人想像力
一つ目は、対人想像力です。相手がどういう状態であり、何を考えているか、どう思っているか、そうした他者の気持ちや考えを想像することです。
他者理解の根底にあるのは想像力です。人は多かれ少なかれ、「何でもっと相手の気持ちを考えてあげられなかったんだろう」と後悔した経験があるかと思います。
他人の気持ちを推し量って理解するためには、まずは相手の立場に身を置いて、相手の気持ちを想像する必要があります。
今までよりもう少し想像力を働かせて、他人の気持ちを想像して行動するだけで、他者との気持ちの行き違いが減り、争いを避けることができるようになるでしょう。
想像力はアーティスト固有の能力ではない
2.クリエイティブ想像力
二つ目は、クリエイティブ想像力です。発明家や起業家が、「こんなこといいな、できたらいいな」と発想したり、アーティストや作家が作品を生み出すために使う想像力です。
創造(creation)とは、「新しいものを初めて創り出すこと」です。
想像(imagination)とは、「実際には経験していない事柄などを推し量ること。また、現実には存在しない事象を心の中に思い描くこと」です。
創造するためには想像しなければなりません。漫画家や小説家などはこのクリエイティブ想像力がずば抜けていますが、この力はアーティストだけの特殊能力ではありません。私たちも持っているものです。
私たちも日々の生活や仕事の中で、日常生活を少し変えて快適にしたり、便利にしたり、仕事の効率を良くしたりするなど、さまざまな工夫をしていると思いますが、それもこのクリエイティブ想像力なのです。