英語に対する新鮮さが失われるリスクも

世間でよく聞く「リビングに英語の本を置く」「英語の曲をかける」などの方法をこれだけ否定する英語指導者などいないでしょうね。ただ、厳密には否定ではなく「大半の人には向かないからやめたほうがいい」というのが本音です。それは「失敗したときのリスクが大きい」からです。

そのリスクとは何なのか、ズバリ「英語に対する新鮮さが薄れ、爆発力がなくなること」です。「物心ついたときから英語が身近にあった」というメリットだけが語られますが、それは逆に「英語への憧れ」がなくなってしまうことでもあるのです。

英語の本が並ぶ本棚
写真=iStock.com/Moonstone Images
※写真はイメージです

早期英語教育を受けていない、つまり物心がついてから英語を始める人間の強力な武器が「英語に触れたときの新鮮な気持ち」や「英語を話す人への憧れ」です。これは英語学習の起爆剤になりえます。もちろん誰もが「英語に憧れる」わけではないのですが、「最初は英語が好きだった」という人がそれなりに多いことを考えると、「身近なところに本を置いておく」方法よりも成功率は格段に高いだろうというのが僕の考えです。

また、それがうまくいかなくても、自分で始めたことというのは責任感を持ちやすいので、お子さん自らが「英語をやりたい」と言うときを待つほうが良いと思います。

一部の育児本にも書いてありますが、習い事でも書店で本を選ぶときでもおもちゃを選ぶときでも、子どもは自分で選んだもののほうが、それに対して責任感を持ちやすいのです。「英語に憧れ、自らその選択をした子」は長期間、強烈なモチベーションを持つことがあります。本を置くより、この切り札を取っておくほうが僕はいいのではないかと思います。

「とりあえず英会話スクール」はやめたほうがいい

前項で「英語の本」について触れましたので、それと同じくらいよく聞かれる「英会話スクール」についてもここで触れたいと思います。英語はやらせたいけど、何をしていいかわからないので、とりあえず英会話を習わせるという方も多いと思います。

結論から言うと、僕はそれにも反対です。一番の理由は本のときと同じ「英語への憧れ」がなくなってしまうからです。ですから、憧れを叶える場所として英会話へ通っているなら、それは良いことだと思います。英会話スクールが即ダメということではなく、お子さんのニーズを完璧に満たしているなら理想的な場となるのは言うまでもありません。

「じゃあウチの子は大丈夫。『楽しい』って言ってるし」という方も注意してみてください。というのも、「心底楽しんでいる」ならいいのですが、「他の習い事と比べてラクだから・ゲームばかりやっているから・宿題などのプレッシャーがないから、楽しい」ということが多々あるのです。