子どもの英語力を高めるには、どうすればいいのか。英語講師の関正生さんは「英語教育は中学生からで十分。小学生の段階で英語に触れさせると、むしろ英語嫌いになってしまう恐れがある」という――。
※本稿は、関正生『子どものサバイバル英語勉強術』(NHK出版新書)の一部を再編集したものです。
「英語への抵抗をなくす」はただのおせっかい
早期英語教育の取り組みの1つとして有名なのが「リビングに英語の絵本をさりげなく置いておく」「英語の曲をかける」などの行動です。お子さんに英語をマスターさせた親御さんが、雑誌のインタビューやテレビで話す成功談としてよく見かけます。
ここで肝に銘じてほしいのは「あくまでその人が成功しただけ」という事実です。この方法を話す親御さんの中では「成功率100%」でしょうが、失敗する家庭のほうが多いと僕は思いますし、何よりも失敗したときのリスクが大きいのです。
ここまで言う以上、きちんと説明しないといけないので、順を追って説明していきます。まず、本を置いたり曲をかけたりする理由は「英語への抵抗をなくすため」と言う方が非常に多いです。でも、それは大人が勝手に「英語はとっつきにくいもの」と決めつけて、「とっつきにくいのだから、英語への抵抗をなくしておこう」という、「おせっかい」な行動なのです。
よく考えてみてほしいのですが、子どもが2歳でも5歳でも8歳でも10歳であっても、「英語を始めるのに抵抗がある」とか、最初から「英語が怖い」なんて言う子はまずいません。英語を始めるときの子どもの顔は間違いなくイキイキして好奇心に溢れています。中には無関心な子もいますが、少なくとも最初から「恐れている」子なんていないのです(もちろん早くから始めさせられてすでに嫌いになっている子ならたくさんいます)。