学習院を選ばなくてよかった3つの理由

私は、秋篠宮家の立場に立てば、学習院での教育を選ばれなかったことは賢明だと考えている。

第一に、どんな教育を受けるかは本人なり親の自由で、秋篠宮ご夫妻は、自分たちの経験や現状を見て学習院ではよくないと思われたのだから、無理強いするべきことでない。

第二に上皇陛下の世代まではともかく、旧華族の同級生がどれだけいるかも、先生方に特別のノウハウがある人がいるかも、年を追うごとに希薄になっている。学習院高等部から他大学の進学実績を見ると、昔と違ってトップクラスの知力をもつ学友を得るのは難しい(いまの学習院は後で紹介するイートン校とこの点で違う)。

第三に眞子さん、佳子さまは途中で外部の大学に出てしまわれ、愛子さまは学習院大学に進学されたがリモート授業が基本で通学されてこなかったなど、学習院での教育は皇族方にとって満足できる実績を示せていないし、問題解決能力もない。

学習院は警備に都合が良いという人もいるが、地理的にそうなのは、赤坂御用地に隣接する初等科だけだし、中・高等科から大学・大学院までが入る目白キャンパスの生徒・学生数は、小さいものではない。もっと警備のしやすい学校はいくらでもある。

エリザベス女王は一度も学校に通わなかった

ここでぜひ紹介したいのが、イギリス王室の教育事情だ。チャールズ国王の戴冠式が5月6日に迫っているが、このチャールズ国王を巡るエピソードは、日本の皇室にとって他山の石とすべきことが多い。

まずは、両親のエリザベス女王とフィリップ殿下の関係について説明しよう。

左・エリザベス女王、右・フィリップ殿下
左・エリザベス女王(写真=Joel Rouse/MoD/nagualdesign/OGL v3.0/Wikimedia Commons)右・フィリップ殿下(写真=Allan warren/CC-BY-SA-3.0/Wikimedia Commons

エリザベス女王は、学校に一度たりとも通われたことがない。かつてのヨーロッパの上流階級では、学問はブルジョワのすることで貴族にはふさわしくないという風潮があった。男性でも大学に通わないことが多く、女性はもっとその傾向が強かったため、エリザベス女王はもっぱら家庭教師に教えられた。

他方でエリザベス女王は12歳から舞踏会など社交生活を始め、13歳のときに海軍兵学校を視察に訪れたとき、亡命中のギリシャ王子だったフィリップ殿下に会って一目惚れして結婚まで突っ走った。