ヨーロッパの各王室もSNSでファン獲得へ
【小島】スタッフも入っているでしょうが、子どもたちの誕生日などには、キャサリン妃自身が撮った子どもたちの写真を上げたりしています。そうやって、ロイヤルメンバーを身近に感じさせる作りになっているのも巧みですよね。同じような形での運用を日本でやろうとすると、スタッフをどうするか、どういう見せ方をするか、果たしてうまくできるんだろうかという気はします。かなり難易度が高いですよね。
【君塚】私はむずかしくないと思うんですよ。技術がこれだけ発達していますし、当然やったほうがいい。ヨーロッパの他の国の王室では、すべてイギリス王室をモデルにし、YouTube、Twitter、Instagram、みんなやり始めました。それで国民に自分たちが何をやっているかをしっかりとアピールし、どんどんファンも獲得しています。
【小島】自分で情報を出せるっていうのは強みですよね、メディアに勝手に書かれるだけじゃなくて。
イギリス王室が自分たちで稼ぎ始めたきっかけ
【君塚】そうです。それに対して宮内庁はといえばあまりに無策なわけですが、彼らの常套句は二つあります。一つは「先例がない」。もう一つは「金がない」です。でもそれは自分たち自身で作らなくてはいけない。お金だってそうです。日本の皇室は金儲けがあまりに下手なんですね。
イギリスを筆頭にヨーロッパの王室はみんな自分たちで稼いでいます。例えば、1992年にウィンザー城が焼けてしまったとき。王室としては修繕費用を税金から支出してほしかったんですが、出ませんでした。王室のスキャンダルが一番ひどい時期だったからです。
そこで、イギリス王室はバッキンガム宮殿を一般公開しました。それから毎年、今年は宮中晩餐会、今年はロイヤル・ウエディングといった具合に、テーマを変えて展示もおこなっています。それに合わせてオールカラーの冊子を作ったり、絵葉書その他の収益で、だいたいいままで10億円くらい稼いでいます。
【小島】ちょっと余談ですが、コロナ禍で海外からの観光客が減って、観光地の古刹は参拝客が激減しましたよね。奈良の法隆寺も修繕費を捻出するためにクラウドファウンディングをやったりしているじゃないですか。京都の仁和寺では護摩行をインスタライブで公開して、投げ銭システムを導入したりしてて、フォロワーに対するスタッフのリアクションも手慣れています。