「一種の島流し先」でやる気は握りつぶされる
【君塚】日本ではどうしてそのようにならないのか。戦後、とくに1990年代から、宮内庁の事実上の位置づけは三流官庁です。宮内庁では1996年から国家公務員試験一種のかたを採用していません。いわゆる「キャリア」を採らず、「ノンキャリア」の人たちばかりです。
その人たち自身はやる気があるんですが、上層部はみんな外務省、警察庁、総務省、厚労省といった省庁の人間がやってきます。彼らは4、5年で配置転換される。こうした人たちからすれば、宮内庁とはいわば一種の島流し先です。そうなると官僚の一番悪い癖で、失敗を恐れて、何もしないで過ごします。下から「こうやったらどうですか」と提案されても全部握り潰してしまう。こんなことが25年ずっと続いてしまっている。
眞子さん事件にしても、皇室が眞子さんがどういう仕事をしているか、SNS等で日頃からきちんと発信していたらずいぶん違う結果になったはずです。もちろんそのためには、実際に公務を増やし、これだけのことをやっている、と国民に実感してもらわなければなりませんが。私たちのために、日本のため、さらには世界のためにこれほどの仕事をしてくれている、国民からそんなふうに思われていたとしたら、状況は大きく変わってきますよね。
日々、国民に公務内容を届けるイギリス王室
【小島】イギリス王室はInstagramなどの運用が上手ですよね。私もフォローしていますが、かなり頻繁に更新されています。
【君塚】それが大事なんです。それこそがダイアナ事件からの教訓です。いま一番人気があるのはキャサリンーウィリアムですが、彼女たちのインスタも、世界で1400万人以上のフォロワーがいます。
【小島】私もよく見ています。
【君塚】毎日どんどん更新していますよね。ファッション情報もありますが、今日はこういう施設に行った、という公務の報告が上がっています。とくにキャサリンさんは、最近では幼児教育、幼児に対する精神的なケアに関して積極的に活動しています。それからアン王女も、彼女がSave the Childrenのパトロンになったのは20歳のときですから、半世紀以上にわたって活動を続けています。
こういう情報が毎日アップされていくと、そういう組織があるんだ、そういう病気があるんだ、と国民が知るわけですね。とくに若い世代は誰もがインスタを見るので大変な影響を与えるし、やっぱり見る目が変わりますよね。