「一石四鳥」のクーポン作戦
一石で何鳥にもなる打ち手を中心にストーリーを組み立てる。これが優れた戦略ストーリーの条件の一つである。平尾さんは一石で何鳥も落とすのが抜群にうまい。クーポンのメリットはこれだけではない。平尾さんの言葉で言えば、クライアントにとってクーポンは「読者に対するギフト」である。ギフトなので、「値下げ」ではない。つまり、「定価そのまま」でお得感を増幅させることができる。しかも、「先着○名」とか「○日から○日まで」と対象や時間を限ることも自在である。デフレの時代、「定価を下げずにお値打ち感を感じてもらう」ことは飲食店にとって切実な課題である。この課題に正面から応えることができる。これで一石三鳥になる。「クーポン文化を醸成しデフレスパイラルを止めて日本の街を元気にする」という狭域情報ビジネスの本領発揮である。
クーポンのよさは、さらにもう一つあった。一石四鳥である。クーポンを前面に押し出すことによって、すでにみたように、「写真とキャッチとクーポン」というフォーマットでコンテンツをつくることが可能になった。このようなフォーマットにすると長い記事を書く必要がなくなる。誰でも原稿をつくることができる。これによって、クリエイティブコストの大幅な削減が実現された。ベテランの制作マンではなく、営業マンが自分で原稿をつくるという仕組みができた。テンプレートと呼ばれる原稿制作のフォーマット・パターンを用意し、日本全国どこからでも原稿を入れられるウェブ入稿システムも構築された。「どんなに離れた場所で事業を立ち上げてもそのクオリティを決して落とさない」仕組みができあがった。
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