「それは三井さんだからできるんですよ」問題
――自分で考えていなかったが故にひどいことになってしまった先輩なり、大人なり、実際に見ました?
三井 死んじゃうまでっていう人は見たことないですけれど、苦しんで自殺しそうになった友だちはいます。周りの目を気にしすぎて、自分はこう生きなくちゃいけない、ああ生きなくちゃいけないって思い込んでしまって、でもうまく振る舞えない自分、うまく生きれない自分っていうものに厭気がさしてリスカしてしまう友だちは、いました。そういう友だちと話していても、「いいじゃん生きたいように生きようぜ、俺は生きたいように生きてるぜ」っていう思いは、ぼくの中にあったと思います。
――そうやって自分で考えて生きている三井さんに対して、必ず向けられることばがある。「それは三井さんだからできるんですよ」。敬して遠ざける。そう言った人の判断は結局変わらず、「三井さんじゃない自分には無理」と止まったまま。「三井さんだからできるんでしょ問題」に対しては、三井さんはどう答えるんですか。
三井 ちょっとことば厳しめですけど、それは「諦めたあんたが自分を殺してる」って話なんですよ。旅人の高橋歩さん、あの人もよくそういう風に言われてる人なんですよ。「高橋歩だからそういう生き方できるんだよ」って。ぼくもそう思っていたんですけれど、ある日ふと思ったのが、「ああ、高橋歩だからできて、自分だからできてないってのは、そう思ってる自分が自分の可能性を殺してんだな」と。そっからなんか変わりましたね。
――それは、いつごろ?
三井 それは、大学3年生の夏前ですね。社会起業大学に1期生として通ってたんですが、卒業する時に自身のビジネスプランだったり人生プランを発表するんですよ。それが本当につらい。自分を深堀りして、自分は何者で、何がしたくて何の為に生きているのか?それを掘り下げて行くんです。そうすると理想と現実の狭間で戦う事になるんですね。その時に高橋歩ブレークスルー(笑)が起きた、というわけです。理想と現実の狭間に勝手に自分を追いやっていたんだなって。だから、「俺だったらできる」と思うことができれば、実はできるんだって、やっぱり自分はそう言っちゃいますね。「なんで、あんた自分じゃできないって決めるんだよ?」って。おカネがなくてとか、学歴なくてとかそういう人はいろいろ言うじゃないですか。「じゃ、それ一個ずつ解消したら? それってこういう風に解消できるよね。はい、できるじゃん。じゃあやってみたら」って言ったときに、きっと、やっぱり「できない」って言うんですよ。それはあんたの気持ちがやりたくないだけでしょ……っていう話ですよね。
――「諦めたあんたが自分を殺してる」は、ことばとして全然きつくないと思いますよ。三井さんのメルマガを読んでいると、あの多すぎる敬語は、人を破壊してはいけないという優しさがまとわせているものだと思います。だからこそ「こういうことばは刺激的すぎるんじゃないか」と思うんだろうけれど、これぐらいのことばにしないと、伝わらないと思いますよ。
三井 そうですか(笑)?
――ちなみに「三井さんだからできるんでしょ問題」に対する「それ一個ずつ解消したら?」「それは自分の気持ちができないだけ」っていうロジック、私が以前取材した方ですと、大前研一さんから聞いたものと同じです。
三井 ええ! そうなんですか? 大前さん、読んだことないんですけど。どっかで聞いていたのかな。