買い物の仕方や財布の状態の変化にも要注意
また、買い物の様子からも、認知症の進行具合を読み取ることができます。
まず、同じものを何度も買ってきているようなら、要注意です。その場合、「同じものを買ってきちゃった」と本人が反省していれば、ただのもの忘れですが、「誰がこんなにパンを買ってきたの?」と自分で買ってきたことさえ忘れているようなら、認知症の疑いが濃厚です。
また、冷蔵庫を見て、「必要のないものまで入っている」ときや、「冷蔵庫内の食品に、賞味期限切れのものが増えている」場合も、要注意です。
そのほかには、以下のような様子が見られるとき、認知症が疑われます。
・曜日の感覚がない
・料理のレパートリーが減った
・水道の水を出しっぱなしにしてしまう
といった症状です。
また、「財布が小銭でぱんぱんになっている」ときも要注意です。これは認知症の人によくみられる症状で、お金の計算に自信がなくなっているので、とりあえず1000円札を出してお釣りをもらうため、財布が小銭でふくらんでしまうのです。
また、以上のような行動を、本人が「自覚」しているかどうかも、重要なポイントです。
本人が自覚的にライフスタイルを変化させようとしているのであれば、心配の必要はありません。一方、本人が気づいていなかったり、否定したりする場合には、医師に相談したほうがいいでしょう。
しぶる親を病院に連れていくための「うまい言い方」
とはいえ、認知症が疑われる人を病院まで連れていくのは、なかなか大変です。本人は「自分はいたって正常」と思っていることが多いのですから。
そんなとき、「ボケたんだから、一度病院で診てもらうわよ」というのは、最悪のものの言い方です。「何いうのよ。ボケてなんかいないわよ」と強く反発されるのがオチでしょう。
「最近、調子おかしいでしょう。認知症かもしれないから、お医者さんに診てもらったら?」というのも、かなり下手な言い方。あえて「認知症」という言葉を使う必要はありません。
ここは「予防のため」というのが、うまい言い方です。「もの忘れの予防のため、一度検診に行きましょう」といえば、本人も「そうね。迷惑はかけたくないものね」と素直に受け止めやすいのです。
「一度、お医者さんに診てもらったら?」と告げたあと、「(私が)安心したいので」と付け加えるのもいいでしょう。
「家族を安心させる」という「大義名分」ができると、すんなり足を運んでくれることも多いのです。また、不安傾向のある人には、「私も一緒に行くから」と付け加えると、不安を取り除くことができます。