過去10年のドラマや映画で、徳川家康役が最も素晴らしかった俳優はだれか。ドラマ偏愛コラムニストの吉田潮さんが選んだ、令和版「徳川家康を演じた俳優ランキング」ベスト10をお届けする――。
徳川家康像(写真=大阪城天守閣所蔵/CC-PD-Mark/Wikimedia Commons)
徳川家康像(写真=大阪城天守閣所蔵/CC-PD-Mark/Wikimedia Commons

ここ10年の「マイベスト家康」を勝手にランキング

過去の大河ドラマでは主人公だけでなく、かなり頻繁に登場してきた徳川家康。そもそも、家康と言えば一般的にはどんなイメージなのだろうか。

関ヶ原の戦いを制し天下統一を成し遂げた人、260年の平和を築いた江戸幕府の初代将軍、鳴くまで待つ人、戦国の世で長生きした人、くえない狸おやじ、熟女・後家好き、出自問わず侍女に手を出しがち、16人の子をなした艶福家、天ぷら好き、伊賀忍者との交流、脱糞・焼き味噌、食い逃げ……。

すみません、私が歴史に疎いので、つい些末な、というか人間味あふれるエピソードのほうの印象が強くてね。

そこで、NHK大河に加え、民放各局ドラマや映画でここ10年の家康役を振り返り、「マイ・ベスト・家康」を選んでみようと思う。

ここ10年にしぼったのは、そりゃ昔の大河の家康のほうが断然迫力があって、津川雅彦や西田敏行、滝田栄が高得点になるわな。平成と令和にしぼったほうが、描き方の変化がみられるなと思ったから。

「人間味・矮小さ・策士としての智慧・上に立つ者としての威厳・平和主義の矜持・人としての慈愛・男としての魅力・茶目っ気やウィット・武将としての迫力・容貌の印象」で各10点ずつつけて、超主観的に総合点を出してみた。

「ここ10年の家康像」勝手にランキング、である。

織田信長に食われてしまった10位

思いつくかぎりで家康が登場した作品を振り返ってみると、あることに気が付く。10位~5位の大半が「トリッキー家康」。家康だけど家康じゃない。要するに、SFファンタジーにおける家康像が多い。ちょっと一気にご紹介しよう。

10位 風間俊介 20点「麒麟がくる」(2020年・NHK大河)

明智光秀が主人公(演じたのは長谷川博己)で、若き暴君・織田信長(染谷将太)に仕え、朝廷と幕府をとりもちつつ、水面下でのネゴシエーション、そして決裂を描くのが主軸。

そのため、風間家康の出番は少なく印象が薄い。松平元康時代は適役だし、正統派だが、染谷信長の承認欲求っぷりが強烈すぎて、得点伸びず。