「要職経験なしでも総理になれる前例」を作った鈴木善幸

最下位が鳩山由紀夫であることは、あまり異議がないだろう。できもしないマニフェストで政権を取り、しかも、無理なことを自覚せず、政治主導と称して現実との不整合を拡大させ、辺野古問題でオバマ大統領に「トラスト・ミー」発言をして日本の外交的信用を台無しにした。首相退任後の元首相として、不適切な国家を裏切るような言動の数々を別々にしても、お粗末すぎた。

鈴木善幸
鈴木善幸(写真=内閣官房内閣広報室/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

かつては、首相にはそれなりの能力と経験のある政治家しかならなかったが、それがないのに身の程知らずに首相になったのが鈴木善幸。内政・外交ともにいいことなしだが、最も困るのは、当選回数を重ねた政治家ならば能力がなくても総理になれる前例をつくったことだ。

石橋湛山は、「2・3位連合」という政策論なしの野合で政権をやりとりする前例を作ったし、外交も非現実的で危険だった。さらに長時間の就任祝いを寒中屋外でして風邪を引いて辞任して短命政権に終わったのも、自身の責任としか言いようがない。

芦田均は、マッカーサーのいうことをそのままする以外何もしなかった。この人が首相になったことの前向きの意味を見いだしがたい。

世論対策の軽視や金権政治はやはり減点対象に

評価の分かれるであろう首相について一言ずつ言えば、中曽根康弘は、外交は100点満点だが(安倍外交は120点、つまり期待する最大限以上と思うが)、内政はバブル経済を生み出し、半世紀たっても立ち直れない惨状に日本経済を導いたのだから、零点以下である。

小泉純一郎は、小渕・森時代の前向きの経済政策より良かったことは何もないと思う。外交は、徹底した対米従属だったが、イラク戦争などブッシュ政権の外交そのものが良かったと思えないし、中韓との関係も無用に悪化させた。また、ワンフレーズ政治などポピュリスト政治の元祖だ。

岸信介は、日米関係の将来について正しいビジョンで成功を収めたが、信念を持って正しいことを実現すればよいと考え、世論対策などを軽視しすぎたのは、やはり欠陥である。

田中角榮は、総理になるまでの構想力、人間的魅力、突破力などいずれも素晴らしいし、「列島改造論」も卓見だったが、総理としてはすべてにわたって慌てすぎたし、ロッキード事件も含め金権政治はやはり高い評価をすることを阻む。