「投資をしない」という若い世代の賢明な判断
日銀の資金循環統計(2022年1〜3月)から個人金融資産が2005兆円と、年度末として初めて2000兆円を超えました。周囲を見回してみると、高齢者はたくさん持っていそうですが、若い世代からは貯蓄ゼロという声もよく聞きます。
そこで、実際のところ一般市民はどれくらいの貯蓄を持っているのか、調べてみました。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」(2021年)の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)から年代別に見てみましょう。
一部の富裕層が多額の貯蓄をしているので、中央値(データを大きい順に並べたときの中央の値)も出します。自分が平均より上なのか、それとも下なのか確認してみてください。
貯蓄額平均:平均/中央値/貯蓄ゼロ率
全国:1563万円/450万円/22.0%
20代:212万円/63万円/37.1%
30代:752万円/238万円/22.7%
40代:916万円/300万円/24.8%
50代:1386万円/400万円/23.2%
60代:2427万円/810万円/19.0%
70代:2209万円/1000万円/18.3%
【単身世帯調査】
貯蓄額平均:平均値/中央値/貯蓄ゼロ率
全国:1062万円/100万円/33.2%
20代:179万円/20万円/39.0%
30代:606万円/56万円/36.3%
40代:818万円/92万円/35.7%
50代:1067万円/130万円/35.7%
60代:1860万円/460万円/28.8%
70代:1786万円/800万円/25.1%
調査データから、例えば40代の2人以上世帯の平均貯蓄が916万円で、中央値が300万円、貯蓄ゼロの世帯は24.8%。一方、40代の単身世帯を見てみると平均値が818万円、中央値は92万円、そして貯蓄ゼロの人は35.7%います。
全国平均の貯蓄ゼロ率を見ると、2人以上世帯22.0%、単身世帯33.2%。これが個人金融資産2005兆円の中身です。
投資をしない・できないが74%
政府が「新しい資本主義」を出した翌日、JNNの世論調査(全国18歳以上の男女2528人)が発表されました。
世論調査で「今後、貯蓄を投資に回そうと考えるか」との問いに
・投資に回そうと思う 23%
・投資に回そうと思わない 40%
・投資に回す貯蓄がない 34%
という、投資をしない・できないが74%の結果になりました。
テレビで、ある乳母車に子どもを乗せた30代の女性がいっていました。
「iDeCoって年金なの? 投資信託を積み立てるの? しかも30年も? この先何があるのかわからないのに30年間も投資なんてできませんよ」
私は、この女性は賢いと思いました。また、データから「お金がないのに投資をするバカ」が、あまりいないことにホッとしました。