元統一教会に人生を台無しにされた30代男性の半生
「コンプライアンス宣言ですか? 自分がいたところでは、そんなことを聞いたことがないです。2012年まで街頭で『手相を見ています』と声をかけて、統一教会の名前を隠して、ビデオセンター(教団の関連施設)に誘い込む伝道活動をしていましたから」
教団は「2009年のコンプライアンス宣言を通じて、すでに伝道活動において、勧誘する当初から教団名を明示することを、信者に徹底させていた」と昨夏に開いた会見で述べています。つまり教団名を告げてから、勧誘をするように指導していたというわけです。しかし、彼の所属部門では、それがなされず、教団名を隠した伝道が長年にわたって継続していたことがわかります。
さらに根田さんは「教会を辞めようと思って、12年ごろ、スマホで教団を批判するブログなどを見ていくうちに、統一教会がコンプライアンス宣言を出していることを初めて知りました」とも話します。
この宣言自体が末端の信者には伝わっておらず、いかに外部向けのものであったのかが、浮かび上がってきています。
今から15年ほど前、20代だった根田さんは街頭で「手相の勉強をしています」と声をかけられたのをきかっけに、旧統一教会に入信しました。
連れて行かれたのは、ビデオセンターAでした。ここでビデオ学習の受講料のほか、2日間セミナー(2days)と4日間セミナー(4days)費用すべて含んだ12万円を払い入会しました。
その時のことを次のように話します。
「有名な占い師という人物に、5000円を払ってみてもらいました。そうしたら『あなたは未熟すぎる。このままの人生だとダメになる! この占いの学校に入って、私の弟子になりなさい!』といわれました。最初のうちは、断っていたのですが『このまま逃げたら将来、大変なことになる! 人生が不幸になる!』といわれて怖くなりました。そして申込書を目の前に出されて『じゃあ書いて』と。断わりきれなくなり、申し込みました。私は“やります”とは一言もいってないのに……」