※本稿は、西剛志『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』(アスコム)の一部を再編集したものです。
「何もしていない時間」が健康長寿をもたらす
「毎日たくさんの予定を入れて、忙しくする。充実感もあるし脳にもいいので、いくつになってもその生活をキープしていきたい」
もしあなたがそう思っていたら、少し待ってください。
この考え方、脳にとってよくない部分もあります。スーパーエイジャー(80歳以上になっても新しいことに挑戦し続けて人生を謳歌している脳と体が老化していない人)の生活習慣で多くの人に共通していることのひとつに「リラックスする時間がある」ことが挙げられます。
「ボーッとしている時間があると脳は働かなくなるんじゃないの?」と思うかもしれませんが、実はそれは半分正解で、半分間違いです。
ここでいうリラックス時間とは、好きなことをする、お酒を楽しむ、仕事とは関係ない趣味をする、ボーッと空を見たり、風呂につかったり、好きな音楽にひたったり、カフェでゆっくり本や新聞を読むなどの時間で、大切なのは「心がゆったりしていて、難しいことを考えていない状態」を指します。
要は、「休息していると自分が認識している時間」ですね。
こういう時間をしっかりととることがなぜ必要か、そこには明確な理由があります。それは、ストレスが脳にダメージを与えるからです。ストレスレベルが高いと、認知症のリスクが上がることが、最新の研究で結論づけられました。
リラックスできる時間は、脳のストレスを下げる効果があります。たとえば体の調子が悪いとき、面白いテレビや動画を見たり、音楽を聴いたりすると、気分が楽になって体調がよくなったように感じた経験はないでしょうか?
専門用語では「打ち消し効果」と言って、私たちはマイナスな状態になったとしても、プラスのものに触れることで、ストレスが相殺されるのです。
ボーっとしている時間に脳全体が活性化する
リラックスする時間の中で、何もしていない時間に、実は脳が最も活性化していることがわかっています。これを「デフォルトモードネットワーク」と言います。