64歳でも「道半ば」…指導者のさらなる高みを目指す
大八木は今季限りで監督を退任して、4月からは「総監督のような立場」に就きたい考えだ。藤田次期監督をサポートしながら、新たな夢を追いかける。それはエース田澤の“世界挑戦”だ。田澤は4月からトヨタ自動車の所属となるが、今後も駒大を練習拠点に、大八木から指導を受けることになる。
「今後は田澤と世界を見つめてやっていきます。選手50人の面倒を見るのは体力的にもきついですけど、数人見るくらいならちょうどいい。駒大の上の選手も一緒に練習できるでしょうし、他の実業団チームに進んだ選手。私の指導を受けたい選手がいれば、駒大OB以外も見たいなという気持ちがあります。とにかく、これからは世界と戦えるような選手を育てていきたい」
男子10000mの参加標準記録は、今夏のブダペスト世界選手権が27分10秒00で、来夏のパリ五輪が27分00秒00。日本記録(27分18秒75)を大きく上回っており、世界大会に参戦するのは非常に難しくなってきている。それでも大八木は田澤と自身の可能性を信じて、突き進んでいくつもりだ。
「世界大会で入賞争いぐらいまではできるような選手にしたいなと思います。近年はレベルが上がっているので、出るだけでも大変ですが、世界で戦うことを目指して指導していきたい。それを人生のラストチャレンジにしようかなと思います」
64歳になっても「道半ば」と考えて、指導者としてさらなる高みを目指していく大八木。人生のクライマックスはまだ先のことになりそうだ。(本文一部敬称略)