隣の家からの「騒音」が止まらない物件
さらには、そこに通年居住している人たちの多くは「元都会人」であり、その土地の人ではありません。感覚は都会人のままなので、近所づきあいも、農村の空き家に移住するのとはまったく違う空気感になります。それが居心地よく、住みやすいと感じるかどうかは人によります。田舎の大らかなイメージに憧れて移住したのに、都会暮らしのときと同じようなせこせこした空気に嫌気がさすかもしれません。
あるリゾート空き家物件の内見をしていたときなどは、すぐ隣の家に室内犬が何頭もいて一斉にキャンキャンとけたたましく吠え始めてずっと鳴きやみませんでした。これではとても「閑静な環境で自然と親しむ」どころではないなと、すぐにNGを決めました。
別荘地によっては全戸に温泉が引かれていたり、プールやテニスコートのあるレクリエーションセンター的な施設を持っていたり、敷地内にお洒落なレストランやブティックがあったりという一見豪華な場所もありますが、それがいいのかどうかも、よく考えてみてください。バブル期に開発されたリゾート地では、施設の管理維持が難しくなって、見た目とは裏腹に、どんどん廃墟化しているところが多いのです。
安い価格にはそれなりの理由がある
開発したデベロッパーがすでに倒産している別荘地もたくさんあります。管理状態が悪い別荘地では、家のそばの木が倒れたり、斜面が崩れたり、道路が陥没したり、私設水道や簡易下水道が壊れたりした場合、敷地内がすべて私有地であるため自治体は面倒をみてくれません。全部自腹、自力で対応しなければならないこともあります。
自力で手当てしようと思っても、今度は管理組合のルールがあって、勝手には修繕もできないかもしれません。それでは都会のマンション暮らしと同じタイプの不自由さがついてまわることになってしまいます。
古いリゾート分譲地の物件が寂れて価格が安くなるのは、それなりの理由があるのです。
一方、リゾート分譲地では田舎特有の因習などがなく、芸術家やインテリが多く、知的な会話ができる人もいて楽しいと感じる人もいるでしょう。要は、リゾート分譲地物件の長所と短所をしっかり理解した上で、自分のライフスタイルに合うかどうかを冷静に判断することです。