「税制にはかならず抜け道がある」
具体的には、各顧客の資産規模・資産内容に応じて、オーダーメイドの「ポートフォリオ」を考案する。「金銭信託などの信託商品からはじまり、不動産、投資信託、リート、株式など各種資産をどういった割合で保有すれば最適か、国内のみならず海外の商品の割合も考慮してご提案する」(同)という。顧客の資産状況に応じて、どの程度リスクテイクできるか判断し、商品の組み合わせを考えるわけだ。
しかし、「本当の金持ちは、運用で資産を大きく増やすということよりも、現状の資産をどう目減りさせないかというニーズのほうが強い」(同)という。とくに日本では相続に伴う税負担は重く、それをどう回避するかが富裕層の最大の悩みだ。冒頭の「高額マンション」を使った節税もその解決策のひとつだった。
「毎年、税制は改正され、節税は難しくなるが、税制にはかならず抜け道がある。それをうまく組み合わせて提案するのが信託銀行の腕の見せどころ」(大手信託銀行幹部)という。不動産取引では売りで3%、買いで3%の、俗に“両手取引”で高額な手数料が入る。富裕層を対象にする信託銀行は日本随一のプライベートバンカーと言っていい。