感染爆発を認めない習近平政権の限界
中国政府の突然の方向転換に、中国国内では混乱が広がっている。
中国政府は12月7日、過去約3年間にわたり強行してきたゼロコロナ政策について、突然の緩和を発表した。これまでロックダウン(都市封鎖)などが強制されてきた中国本土では、食料の入手が難しく職を失う人々も続出するなど、暮らしぶりは目に見えて困窮していた。
今年秋からは各地でデモが相次ぎ、言論統制の行き届く同国としては異例の事態に発展。これに押し切られる形で習近平政権は、急激な方針転換に踏み切った。
しかし、長期間ゼロコロナを採用してきた国内では自然免疫の獲得率が低く、さらに国内産ワクチンの有効率にも限界がある。ゼロコロナ解除にあたっては入念な準備が求められるところ、有効な感染対策がほとんど示されていないのが現状だ。
不思議なことに中国政府の公式データによると、コロナによる死者数は大きく増加していない。12月7日に大幅緩和を発表して以降、18日まではゼロ。19日に2人、20日に5人が死亡したと発表があっただけだ。
だが、中国国外のメディアは、医療崩壊や10日待ちとなった火葬場など、限界を迎えた市民生活の姿をありのままに報じている。
20日間で推計2億5000万人の感染爆発
英フィナンシャル・タイムズ紙は、わずか20日間で中国人口の18%が新たにコロナに感染したとの推計を報じている。
情報元は複数の政府筋となっており、中国疾病予防対策センター副所長が21日、保健報告会にてこの数字を報告したという。報告は12月1日から20日までの20日間で2億5000万人が感染したと推定する内容で、これは人口の18%に相当する。