中国の現状は世界経済にも大きなマイナスに
現在の感染状況が一朝一夕に解消に向かうとは考えづらい。人々は追加的に接触を避けるようになる。経済運営に欠かせない人の移動線=動線は一段と不安定になるだろう。それによって、個人消費にはより強い下押し圧力がかかりやすい。いずれ感染は落ち着き、徐々に経済活動も持ちなおすだろうが、上海ロックダウン後などに比べて個人消費の回復ペースはより緩慢になる恐れは増している。
生産や物流、貿易取引の停滞も懸念される。その状況下、景気下支えのために習政権は不動産業界への資金支援を強化する方針だ。ただ、不良債権処理は遅れている。債務問題は深刻化するだろう。地方財政の悪化懸念も追加的に高まりやすい。経済全体で資本の効率性は低下し、成長率の低下懸念は一段と高まりそうだ。生産拠点を海外に移す中国や海外の企業は増え、雇用・所得環境もさらに不安定化するだろう。
それは、世界経済にとって大きなマイナスだ。半導体や人工知能(AI)など先端分野をめぐる米中の対立も熾烈化している。共産党政権はゼロコロナ政策などに起因する市民の不満、不安増大を抑え、世論の目線を海外に向かわせるために台湾に対する圧力をさらに強める恐れも増している。2023年の世界経済にとって中国経済は主要なマイナス要因の一つと考えられる。