意識より先に、体が動き始めている
しかし、一度回してしまえばこっちのもの。あとは、「淡蒼球」が“やる気エンジン”を活発化させてくれます。
自ら「回す」のが重要――。その理由は、まだあります。
みなさんは、思考と動作、どちらが先だと思いますか?
私たちの感覚では、「こうしよう!」と脳が考え、そして体に命令を出して動作が実現されると思いがちです。
そういう気持ちにならないから動き出すことができない。そう考えるかもしれません。しかし、そうではありません。
脳科学者や心理学者の間では、体の動きを感じて意識が働き出すという考えが、今では常識になっています。
たとえばジョギングを始めるとき、「走り出そうという意識」より先に、「体が動き始めている」のです。
脳は、頭がい骨という真っ暗な密室に閉じ込められていて、体の器官から送られてくる情報を頼りに自分の状況を判断します。
つまり、体が先、思考が後ということです。
にわかには信じにくいことかもしれませんが、カリフォルニア大学のリベットらが行った実験で、動作を行う準備のために脳に送られる信号が、動作を行う意識の信号よりも350ミリ秒も早いことが示されているように、数々の実証実験によって証明されている事実なんです。
行動を先に起こして脳をだます
体から「元気に動いている」という信号が脳に送られてくると、脳は「自分は今、元気なんだ」と判断し、だったら一層そうなるようにと、神経伝達物質(ドーパミンやアドレナリンなど)を送ろうとします。
スポーツの世界では、「ランナーズハイ」、「ゾーンに入る」といった言葉がありますが、そういった状態が生じるのは、体の動きに合わせて脳が考え、神経伝達物質を送り込んでいるからです。
脳は体から送られてくる情報をもとに自分の状態を判断する。
動作と意思の関係性は、次のように整理できます。
○ 身体が動いた→その意味は?→「ああ、そうか」と脳が意識する
ということは、無理にでも笑顔をつくると「私は今、楽しいんだな」と脳は判断して楽しくなってくるし、やる気がないときも無理にでも体を動かすと「お、エンジンがかかってるな、ガソリン(やる気)をどんどん送らなきゃ」となってくるわけです。