今年4月、BSフジにて“ソーシャルTV”の名を冠した「ソーシャルTV THEコンパス」という番組がスタートした。番組からFacebookなどのソーシャルメディア上で放送テーマを伝え、生放送中にその意見と有識者の意見交換を行うのが狙いだ。

ソーシャルTVとは、インターネット上での仲間との動画の共同視聴のことである。従来のテレビは、テレビ局が流すコンテンツを受け身型で視聴するというものだが、ソーシャルTVは参加型であることが特微だ。FacebookやTwitter、Google+などのソーシャルメディアとの連携はもちろん、ネットで話題になっていたり、自分とつながりのある友人が視聴したりした番組の情報などをシェアして活用できる。

「今この番組を見てます」と“チェックイン”すれば、その情報がSNSを通じて友人などに流れるイメージだ。

また、見逃した放送が視聴できる「ビデオ・オン・デマンド」で、遠方にいる友人と一緒にTVを見ることもソーシャルTVなら可能になる。海外ではソーシャルTVアプリが多数登場しており、昨年9月には見逃し放送の有料提供サービス「Hulu」が日本市場にも参入している。

野村総合研究所上席研究員の山崎秀夫氏は「日本はデータ放送などの場合、『どこまでが局か、どこまでがネット側か』などソーシャルな投稿の責任分担が不明確。その結果、広告が載せられないという問題がある」と指摘する。とはいえ、視聴率が低迷するテレビ業界やネット業界にとってはソーシャルTVの登場は朗報だ。

(ライヴ・アート=図版作成)