「葉梨氏の更迭でも、すぐに決断していればここまで批判を浴びなかった。『聞く力』が『聞きすぎる力』になって、決断が遅い。この国会で衆院小選挙区数の10増10減、公職選挙法改正が成立すれば、焦点はいつ解散総選挙に打って出るかのタイミングになる。ぐずぐずしていると、岸田おろしが始まります。すでに岸田首相の後を狙った人も虎視眈々と動いている」

経済再生担当相だった山際大志郎氏、葉梨氏と大臣が相次いで辞任。寺田稔総務相も政治資金疑惑で厳しい状況に追い込まれ、「辞任ドミノ」が続きかねない。総理の座について1年2カ月となった岸田首相。再来年9月には自民党総裁の任期がくる。旧統一教会問題が長引くなか、支持率の回復が見込める情勢にはない。

※この記事はAERA dot.で2022年11月16日に配信されたものです。11月20日に寺田稔総務相は辞表を提出しました。

岸田首相が勝利した2021年の自民党総裁選では、前首相の菅義偉氏が、不人気から総裁選出馬を断念した。

「旧統一教会問題がこじれ、世論調査の支持率がさらに落ち込み、菅氏の二の舞となることを岸田首相は恐れている」(岸田派の国会議員)

岸田内閣の支持率が落ち込む中、次期首相の名前も語られ始めている。先の大臣経験者が言う。

「旧統一教会の問題解決には、突破力がある河野太郎デジタル相を推すグループがある。茂木敏充幹事長は派閥の長なので当然、出馬となる。安倍長期政権後、安倍派と麻生派の強力なパイプで総理が決まってきたが、安倍派に総理候補がいない。麻生派が岸田派と組んで大宏池会で河野氏をかつぐかもしれない。林芳正外相も有力視されるが、岸田派なので岸田首相のすぐ後では難しい。そうなれば、茂木氏か河野氏を軸にした流れになるだろう」

河野太郎デジタル相
次を狙っているのか? 河野太郎デジタル相(写真=首相官邸/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons
茂木敏充幹事長
当然狙っている? 茂木敏充幹事長(写真=内閣官房内閣広報室/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons
林芳正外相
次はまだ早い? 林芳正外相(写真=首相官邸/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

岸田政権で非主流派となった菅氏や二階俊博元幹事長らも、巻き返しを狙っている。とりわけ、元気なのが二階氏だという。

11月5日、二階氏は新型コロナウイルスに感染したと公表した。予定していた二階派の研修会も中止になった。だが、

「あちこちで二階はもうダメだなんて言われているが、元気ですよ。発熱程度の症状で軽症です。『まだまだやらにゃいけないことがある』と意気軒高。ちょうど、和歌山県知事選挙がスタートしたので、そちらが気になって仕方ないようです」(二階派の国会議員)