12月に経費を使って「節税」を考える
吉田さんは、自分が申告した内容が正しいのか自信をもてなかったが、当時は売り上げが少なかったので、「ちょっとくらい間違えていても大丈夫だろう」と軽く考えていたのだ。
しかし今年は違う。このままでは税金が大変な金額になることを恐れた吉田さんは、「12月のうちに経費を使ったほうがいい」というフリーランス仲間の助言を実行に移すことにした。
師走の忙しい仕事の合間に、吉田さんはどうにかして経費を増やそうと考えていた。
税金のルールに疎いとはいえ、売り上げから経費を引いた利益に対して税金がかかることは知っている。売り上げを減らすか、経費を増やせば、税金が減るはずだ。
素人がやりがちな経費の積み上げ
売り上げを少なめに申告しようかとも考えたが、後から脱税を指摘されるのは怖い。そこで吉田さんは、フリーランス仲間のアドバイスにしたがって次のとおり経費を増やすことにした。
①前から欲しかった仕事用の新車(200万円)と最新のカメラ(25万円)を買う。
②動画編集の仕事を手伝ってくれていた妻に、報酬として200万円を渡す。
③自宅で仕事をしているので、家賃や光熱費をすべて経費にする。
②動画編集の仕事を手伝ってくれていた妻に、報酬として200万円を渡す。
③自宅で仕事をしているので、家賃や光熱費をすべて経費にする。
これらの経費を集計すると、500万円ほどになった。シミュレーションのために国税庁ホームページのシステムに数字を打ち込むと、納税額は50万円に満たない金額に収まりそうだ。
「節税って思ったより簡単だな」
そう思った吉田さんは、安心した気持ちで年を越した。