1752市区町村のうち統合事例があったのは17%だ。統合形態としては、小学校同士が273件、中学校同士が94件、義務教育学校の設置が51件、施設一体型の小中一貫校が16件、その他が3件である。
8.4人に1人が「東京都生まれ」
小規模校が誕生するのは、出生数減少だけが理由ではない。地域偏在が拍車をかけている。総務省の「住民基本台帳人口移動報告」によれば、2021年に東京都へ転入した女性は19万7947人だが、このうち20~24歳が5万8355人(29.5%)、25~29歳が4万6152人(23.3%)、30~34歳が2万3803人(12.0%)を占めている。
出産適齢期の女性がこれだけ東京都に流出したならば、地方の出生数が少なくなるのは当然のことである。厚労省の人口動態統計(2020年)によれば、都道府県で出生数が最多だったのは東京都(9万9661人)だ。最も少ない鳥取県は3783人でしかない。
2020年の年間出生数は84万835人なので、いまや新生児の8.4人に1人は「東京都生まれ」なのである。
毎日20キロ以上を通学する小学生たち
しかも、各県内においても地域偏在が進んでいる。多くは県庁所在地など人口の多い地方都市で生まれている。同じ地方圏にあっても県庁所在地などではない自治体を中心として小規模校が誕生しているのだ。
「大人の事情」によって進む統合だが、影響を受ける子供たちにとっての一番の課題は通学時間が長くなることだろう。
2019~2021年度では、統合によってスクールバス通学が156件から325件へと増加している。通学距離20キロ以上の人がいる学校は、小学校で8%、中学校では14%に及んでいる。自宅からここまで離れてしまうと、低学年の子供たちにとっては精神的負担の大きさが懸念される。