ユニクロの失速は本当に大丈夫なのか
ファーストリテイリングは2021年7月、日本と中国で計画を下回ったことを理由に、21年8月期の業績予想を下方修正した。
さらに、22年8月期第1四半期についても、ユニクロの国内事業と中国の事業が減収減益になったことを発表している。
お膝元の日本、そして肥沃で広大な中国市場で、これまでのファーストリテイリングらしからぬ弱気な戦いを余儀なくされているというのだ。
同社の将来に一抹の不安を感じずにはいられない出来事だ。
ただし、同社は22年8月期上期決算においては、北米・欧州、その他のアジアのエリアで大幅増収となった。ユニクロ国内事業が大幅減収、中国事業が微減収となったが、トータルでは売上増、利益ベースでは大幅増益となっている。
しかし、これまでファーストリテイリングの成長をけん引してきた、売上の61.5%を占める国内と中国事業におけるブレーキは気になる点だ。
ファーストリテイリングは、中国での失速をあくまでもコロナ禍における環境要因だとしているが、日本における失速はどう説明するつもりなのだろうか。
アジア市場の入り口は「出店」
ファーストリテイリングの成長エンジンは、間違いなく「出店」にある。
同社の勝ちパターンは、各国の最も地価の高いところに最も大きな店を作り、「戦略PR」で話題性を作り、ヒートテックのような高付加価値品を軸にして、新興マーケットを切り開いていくというものだった。
加えて、ファーストリテイリングが狙っているアジア市場は、SNSによるライブコマースは大手のアリババグループのタオバオプラットフォーム一択となっており、YouTubeのようなものは存在しない。
そのため制空権を奪われたユニクロ含む外資企業の参入は、常にリアル店舗からということになっている。