トヨタはなぜ「紙1枚」にこだわるのか

続いて、4位以下から、注目の書籍をご紹介します。第4位は浅田すぐるさんの『トヨタで学んだ「紙1枚!」で考え抜く技術』でした。

浅田すぐる『トヨタで学んだ「紙1枚!」で考え抜く技術』(日本実業出版社)
浅田すぐる『トヨタで学んだ「紙1枚!」で考え抜く技術』(日本実業出版社)

著者は、問題解決を「拡げる」と「絞る」の繰り返しだと定義し、トヨタの文化である「紙1枚」のフレームワークで問題解決する方法を教えてくれます。

「なぜ紙1枚にまとめる必要があるの?」と思う方もいるでしょう。それは、紙1枚という制約によって、自然と「不要な情報はないか?」「本質は何だろう?」と考えることになり、頭を効率的に働かせることができるからです。

紙1枚のフレームワークの作り方は簡単。まずは紙にタテ線とヨコ線を3本ずつ引いて4×4の枠を作り、左上の第1フレームに「あるべき姿は?」、2つ下の3行目のフレームに「現状は?」、右上のフレームに「問題は?」と書いて、それぞれの枠を埋めていきましょう。最後に「あるべき姿」と「現状」を見比べ、ギャップとして浮かび上がるものを「問題は?」の下の欄に記入するだけです。

思考力に自信のない人や、「ちゃんと考えたの?」「考えが浅いよね」と言われがちな人は、ぜひ試してみてください。意外なほど頭の中が整理され、課題と解決策が明確になるはずです。

100冊中51冊が「復習・反復の大切さ」について言及

第5位の『「勉強法のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』にもご注目ください。

藤吉豊、小川真理子『「勉強法のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』(日経BP)
藤吉豊、小川真理子『「勉強法のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』(日経BP)

本書は、「文章術」「話し方」に続く、人気シリーズの3作目。前作までと同様、名著100冊に書かれているノウハウを抽出し、登場する冊数の多い順にランキング化しています。

「勉強法のベストセラー100冊」のうち、最も多くの本に登場したのは「繰り返し復習する」。実に100冊中51冊が「復習・反復の大切さ」について言及していたといいます。

復習のポイントは4つあります。

(1)一度覚えたことをそのままにせず、必ず復習すること
(2)1回目の復習は遅くとも翌日までに行うこと
(3)1日後、1週間後、1カ月後など、間隔を空けて復習すること
(4)覚えるまでの回数には個人差があるため、自分に合ったペースと回数で復習すること

2位は「目的とゴールを明確にする」、3位は「上手な休憩で学びの質が上がる」、4位は「ごほうびでドーパミンを活性化」……と、上位のものをさらっとチェックするだけでも、勉強のモチベーションが上がる一冊となっています。リスキリングに関心が集まる今、多くの方に読まれたのも納得だといえるでしょう。