青学大はなぜ「全日本」で惨敗したのか

「初めて全日本にバッチシ状態を合わせることができたかなと思います。プライドを持って(優勝確率)100%で頑張っていきたい」

全日本大学駅伝前日の記者会見で青学大・原晋監督は自信を口にしていた。しかし、駒大との“勝負”は序盤でついてしまった。

青学大は1区の目片将大めかたまさひろ(4年)が序盤で飛び出して、そのまま独走。終盤、大東文化大のケニア人留学生に逆転を許すも、駒大に9秒のリードを奪う絶好のスタートを切った。だが、2区の白石光星(2年)が良くなかった。駒大のスーパールーキー佐藤圭汰にあっさりかわされると、13位までダウン。区間16位に沈み、駒大に2分10秒ものビハインドを負ったのだ。

最終的には大会記録を上回りながら、駒大に3分58秒という大差をつけられて“惨敗”した。

「駅伝界の新時代が幕開けしたと感じましたね。今年は箱根、出雲、全日本で大会新。強化方法、駅伝に向き合う姿勢で昭和は終焉したな、と。新しいメソッドで令和の新駅伝に突入したと思います」(原晋監督)

近年はシューズが大幅改良されただけでなく、トレーニング法も進化。その結果、学生長距離界のレベルは急騰している。たしかに昭和の感覚では時代に置いていかれるだろう。

そのなかで原監督はビジネスマンの手法を生かした強化方法で、新たなトレーニングにも積極的に取り組んできた。そして黄金時代を築いたが、この数年の“超スピード化”に戸惑いを隠せない。

トラック(5000m、10000m)のタイムでは過去最高水準に到達している駒大に小さくない差をつけられている。今年の箱根は勝ったが、出雲と全日本では駒大の圧倒的なスピードに全くついていくことができなかった。

なお、勝負をわけた2区の白石の失速については、「練習は完璧だったんですけど、3~4日前から体が軽くて、ふわふわしていたみたいです。それが裏目に出た。最後の調整がうまくいかなかったですね」と説明した。