間違ったイメージに踊らされる「強み迷子」
一般的に「強み」というと、「人より突出した才能」や「高難易度の資格や大きな実績」などがイメージされ、「限られた人しか持っていないもの」と考えられています。
それゆえ、たとえば「学歴がない」「資格がない」などの理由から「私には強みなんてない」と感じてしまう人が後を絶ちません。
一方、不思議なことに、「高学歴」「部活の全国優勝経験」など学生時代に輝かしい実績を持っていたとしても、実際に働き始めると自分のスキル不足などに直面し、「仕事で求められるスキルがない」「結果が出ない」などの理由から「自分には強みがない……」と落胆してしまう人も少なくないのです。
しかし、多くの人が持つ「強み」のイメージは、そもそも大きく間違っています。
私がお伝えする「強み」の定義とは、「目的達成に有利に働く特徴」です。
ですから、「転職をしたい」という目的を達成したいとき、その目的に「1ミリでも有利に働く特徴」があれば、あなたの転職を実現させる「強み」となるのです。それが「人より秀でた才能や仕事の大きな実績」ではなくても、です。
「どんな場面でも使える最強の必殺技」は存在しない
たとえば、ゲームのRPGの世界を思い浮かべてみてください。
RPGではメインキャラクターを選択し、次々に現れる敵キャラを倒しながら目的地をめざして冒険します。
このとき、メインキャラの使えるワザが「火を吹く」だった場合、現れた敵が「氷タイプ」のような性質であれば当然勝てることでしょう。しかし、「水タイプ」「岩タイプ」など、火に強い性質の敵であれば、「火を吹く」というワザの効果は劣ってしまいます。
つまり、基本的に「どんな場面でも使える最強の必殺ワザ」は存在せず、同じワザでも戦う敵によって「強いワザ」になったり「弱いワザ」になったりするのです。
「強み」というのも、このゲームの世界の構造によく似ています。
「憧れのIT会社の採用試験に受かりたい」と思ったときにアピールするべき「特徴」と、「今の会社の営業部で昇進を狙いたい」と思ったときに使える「特徴」は違います。
基本的に前者はITのスキルや知識が求められるでしょうし、後者では営業としての実績や部下のマネジメントスキルが求められるでしょう。
このように、たとえ同じ人であっても、「目的」が変われば、使うべき「特徴」も自ずと変わる、ということなのです。